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失敗をバネに
「ええ、そうよ。魔女見習いになる子のために、こっそり準備していたの」
「そっか、あれは魔法力の魔法……」
先ほどまでやる気に溢れていたリンちゃんが、しょんぼりと肩を落として呟く。
「どうしたの?」
姫野先生は急にしゅんとなったリンちゃんに、問いかける。
「あのふわふわした光る魔法使ってみたかったのに……がっかり」
姫野先生の瞳に、今にもため息をつきそうな雰囲気のリンちゃんが映る。
「それに、魔法に限りがあるのなら、もっと大切に使えばよかったのに、私ったら気軽に使っちゃったし……」
リンちゃんはどんどんうなだれていく。
「できますよ」
「え?」
「リンちゃんなら再現できますよ。基本ができていますから」
姫野先生はリンちゃんに視線を合わせ、話しかける。
「とても、とても大切なのよ。経験を生かすことは」