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課題が見えたその先に
「全員全滅」
紫陽花の咲く雨の日に、ポーリャが話す。
「清白さんとポーリャさんは二次まで行けたのでしょう?誇って良いですわよ」
「二次も一緒だよ。志望動機を聞かれて、また歌とダンス」
「それでも私たちは一次で落ちちゃったから、すごいよ」
「歌はともかく、初めて聞く曲で踊れるようになりましょうって封筒来たし」
朝霧と岩筒治、華怜も話に混ざる。
「聞く所によると、あの試験三次まであるらしいぞ。また来年やるってさ」
菫山がどこからか調べた情報を教えてくれた。
「アイドルの道って大変――」
「先生来たよ!」
マリーの声に、全員がバタバタと席に戻る。
(試験管さんは歌は良いって褒めてくれた。ダンスもそれなりって。あとは……)
リンちゃんは送られてきた用紙に、書かれていたことを思い出す。
(『もっと肩の力を抜いてください』か……マジックの発表会で慣れていこう)
姫野先生が帰ってきたら相談してみようと決め、リンちゃんは席に着いた。