159/165
終わる時間とはじまる時間
好きなものには趣味も入るよ、と姫野先生が話しだした瞬間、部活終了を
告げるチャイムが鳴り、全員のため息が重なった。
「ありがとうございました」
「二重崎白町に帰ってきたら、すぐに連絡するね」
姫野先生と連絡先を交換し挨拶を交えた後、マジック研究会は解散した。
「ただいま……」
リンちゃんはいろいろ考えながら帰宅し、鍵を開け家に挨拶する。
「おかえりー」
返事が来た。その声の出所を探すと、ダイニングで兄が夕刊を読んでいた。
「久しぶり、りっ……んちゃん」
「お兄ちゃん!どうして?」
「父さんから、何かあったときに男手がいるからって。連絡したよ?」
「あ、ホントだ」
「連絡したら、返してくれると嬉しいな」
「すぐ返すようにするね。おかえりなさい、お兄ちゃん」