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期待していますよ
最終話 バトンを繋ぐ、そのために
日が傾いていく中、リンちゃんたちは環簪花中学校に戻る。
アンコールが長引き、予定時間を大幅に過ぎていた。
「今回の失敗を次回に生かしてください。こちらからは以上です」
それだけを告げる教頭先生に、リンちゃんは拍子抜けしてしまう。
「どうかしましたか、清白さん」
「予定より遅れちゃったし、大切な杖なのにジャグリングしちゃうし――」
「時間内に終えることも大切です。同様に時間を忘れ熱中することも大切と
個人的には思います」
リンちゃんの言葉に教頭先生は答え、校舎に向かうため、踵を返す。
「じゃあ私はマジック研究会にいても良いんですか?」
「いいも何も。観客に楽しんでもらうのがマジックでしょうに」
夕日に向かって歩く、教頭先生は片手をあげて、くだけた表現で話す。
「期待してますよ」