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好きを好いてくださいね
「だったら使ってみてよ」
さらに別の子も参加し、教室は騒然となる。
チャイムが鳴っても、それは続いていた。
「みんな席についてね。朝のホームルームを始めるよ」
姫野先生が来ると、教室は静かになっていく。
「なにがあったんですか?」
「マジック研究会から魔法の話が出て、科学の時代にあるのか、話し中です」
廊下側の一番前に座っている眼鏡をかけた女の子が姫野先生に伝える。
「ありがとう、朝霧さん」
教室が静かになると、姫野先生は口を開く。
「確かに今は科学の時代です」
姫野先生はそう言うと、どこからかシャーペンシルを取り出した。
「ところで、みんなは筆記用具を何から選んで買いますか?デザイン、色、値段、
いろいろあると思います。その中から好きなものを選んでいますよね」
リンちゃんは自分のシャーペンを見て、母と選んだことを思い出す。
「それと一緒で、自分の好きも、相手の好きが、同じなれると良いですね」