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天井にある白いやつ
手のひらを交差させボールを出すリンちゃん。
そのボールをもとにジャグリングをして、次々とボールが舞い上がる。
投げるボールの数を増やし、天井すれすれまで高さを上げていく。
天井の白いでっぱりに当てそうになり、リンちゃんは立ち位置をずらす。
左右にふらつきながらもリンちゃんが手品を終えると、大きな拍手が起こる。
アンコールの声も出ている中、作業服を着た人がやってきた。
保育士さんがその人と対応し、リンちゃんは聞き耳を立てる。
「……が鳴ったので様子を伺いに来ました」
「今の時間は火を使うようなことは……」
「そうですよね。たぶん火災報知器の誤報です――」
「火事だって!」
子供の誰かが叫ぶ。リンちゃんと同じく聞き耳を立てていたのだろうか。
「大丈夫ですよ。たぶん天井にある感知器の誤作動――」
作業服の人の説明は、出口に向かう子や泣き出す子の声にかき消される。
「どうしよう」