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歓迎されたその裏で
保育士が開けた扉に入ると、音が鳴り響き、紙吹雪と紙テープが降ってきた。
子供たちがクラッカーで歓迎してくれた。
折り紙の輪っかも飾られ、祭囃子や神楽囃子が今にも聞こえてきそうなほど、部屋は盛り上がっていた。
「びっくりしたー……ってあれ?」
リンちゃんが髪に絡まったテープを取ろうとすると、きつく髪に絡みつく。
「じっとする」
ポーリャはリンちゃんの髪に絡まった、紙テープをゆっくり解きはじめる。
先に行く朝霧たちを、リンちゃんはもどかしい思いで見ていた。
姫野先生と朝霧と華怜は立ち止まる。
菫山とマリー、教頭先生はさらに奥に案内されていく。
朝霧が扉を開けようと、ドアノブを握るとすぐに手を離す。
「バチッと来ました。静電気ですわ」
「あー痛いよね、あれ」
「ドアノブや窓の桟ではよくやりますの。体質ですかね」
追いついたリンちゃんに話す朝霧の顔には、緊張の面持ちを浮かべていた。