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うれし涙
ふいにかけられた声の方向にリンちゃんが顔を向けると、そこにはポーリャがいた。
「ポーちゃん!どこから?」
「魔法で来た」
「そっか、魔法か――魔法上達したんだね、ポーちゃん」
ポーリャに勢いよく抱きつくリンちゃん。
その揺れでポーリャの杖も揺れ、音が鳴る。
「早く会いたかったから」
ポーリャはリンちゃんの背中を優しくたたいている。
「リンちゃんはよく泣く」
「だって嬉しいことが二つもあったん――」
言い換えそうとするリンちゃんにハンカチを渡すポーリャ。
「落ち着いたら行こう。朝霧さんを探しに」
「あれ?朝霧ちゃんも迷子?」
「どっちもまだ。まず、リンちゃんに会いたかった」
「ありがとう、ポーちゃん。なら、一緒に探そうか」
「私ならここにいますわ」