136/165
朝霧、到着
ショッピングモールに車が入ってくる。
車から扉を開けて降りる影一つ。
その影は朝霧の影だった。
「日が変わるまで起きて寝坊とは……私としたことが」
若草色のシングルジャケットに白のボタンシャツ、スキニーパンツにブーツ。
乗馬スタイルを着こなして、朝霧はショッピングモールに向かう。
「眠る前の携帯操作は睡眠の大敵ですわね。あら、携帯が圏外……」
朝霧は荷物が運び込まれている駐車場付近でしゃがみ、呪文を唱える。
――春夏秋冬、じきに初夏
変わる季節に、紛れ込み
一足早く、駆け出そう
気配を消して、颯爽と
(清白さんもポーリャさんもどこにいらっしゃるのやら)
朝霧は、リンちゃんとポーリャを捜すため、地図を探す。