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探すもの
リンちゃんはサコッシュに携帯をしまい、空を仰ぐ。
晴れ渡る青空がリンちゃんの瞳に映る。
「探しに行こう。きっとどこかにいるはず」
リンちゃんは両側にリボンが付いたベレー帽を被り直すと、ストレートの髪を
なびかせてショッピングモールの中に入り、階段の踊り場に向かう。
周囲を見渡し、自分だけなのを確認すると、リンちゃんは魔法を唱える。
――音色よ音色、音の色
友の居場所を たずねます
友人たちは どこにいる?
リンちゃんの耳にお店の音楽やいろんな人の会話が聞こえてくる。
マジック用の杖を家に置いてきたリンちゃんは、代わりに携帯でやってみた。
ところ、結果はご覧の有様で、リンちゃんはどうしようかを考える。
(ポーちゃんを探そう。ボーダーニットとズボンの恰好……ズボン良いな)
先日広場の帰りに、車に水をかけられ、服はクリーニングに出してある。
今日、リンちゃんは外出用のズボンを探す予定だった。
(二階に行ってみようかな。ポーちゃんか朝霧ちゃん、まだいると良いな)