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通信圏外

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「遅(おそ)くなっちゃった。急(いそ)げ急(いそ)げ」

　週末(しゅうまつ)になり、リンちゃんは自転車(じてんしゃ)をこぐペダルに力(ちから)を入(い)れた。

　朝食(ちょうしょく)を作(つく)ってみるかい、と父(ちち)に誘《さそ》われ、パンケーキを作(つく)るリンちゃん。

　これが難(むずか)しくもあり楽《たの》しくもあり、予定(よてい)の時間(じかん)をオーバーし、今(いま)、道(みち)を急(いそ)ぐ。

「到着(とうちゃく)、と」

　ショッピングモールの駐輪場(ちゅうりんじょう)に自転車(じてんしゃ)を止(と)め、携帯(けいたい)を見(み)るリンちゃん。

「ギリギリセーフ」

「携帯(けいたい)が圏外(けんがい)だって」

「私(わたし)のも圏外(げんがい)よ」

「俺(おれ)のもだぞ。電波障害(でんぱしょうがい)か？」

　周囲(しゅうい)の声(こえ)にリンちゃんも確認(かくにん)すると、アンテナ横(よこ)に圏外(けんがい)の文字(もじ)があった。

「どうしよう……着(つ)いたら連絡(れんらく)する約束(やくそく)だったのに」