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月と影と
月明かりが照らす廊下の壁に映るの影三つ。
「イヌ!」
「カニ!」
「キツネ!」
ひきつった顔で影絵をするリンちゃんを、楽しそうにみるポーリャ。
「トリとかアヒルとかカタツムリもありましたっけ」
影を見ながら答える朝霧。
影絵とともに歩いていくと、掲示板の校内新聞に光が差す。
「これ菫山君も作ったやつだよね」
「そう聞いた。写真コンテストもある」
「来年は応募しようよ」
「居たら、応募しますわね」
楽しそうなポーリャとリンちゃんとは対照的に、朝霧は普段通りに話す。
「朝霧ちゃん?」
「約束をしても引っ越しで、破ってしまいますから」
朝霧の口調の中に、わびしさが混じっていると、リンちゃんは感じた。