127/165
準備できた?
「時間切れ、行こう、リンちゃん」
「うう……よく鍵を貸してもらえたね、朝霧ちゃん」
「日頃の行いですわ」
廊下からする声に覚悟を決めるリンちゃん。
教室から踏み出すと、目の前にある廊下は闇が広がる。
「お先真っ暗」
冗談めかして言うポーリャ。
「電気!電気つけようよ!」
「今日は月が明るいですし、省エネですわ」
朝霧に言い返そうとした瞬間、中庭の茂みから音がし、リンちゃんは固まる。
茂みからネコが出てきて、一声鳴く。
「なんだネコか……」
「物音ひとつに反応しすぎですわ。でどうなさいます?先行かれますか?」
「お先にどうぞ」
「おあとがよろしいようで」
ポーリャはそう言って、先頭を歩きだす。