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進ませて
小さな子は目を輝かせながら周囲を見て、リンちゃんの言葉に首を縦に振る。
「どこからその名前が……って私のアイスから?」
「あはは。あたり――ふえ?」
朝霧の声に笑ってうなずくリンちゃんは、驚きの声を上げた。
泡が急に動き出した。少しずつ速度も上がっている気がする。
「私が進ませてって言ったから……」
「大丈夫。何とかする」
ポーリャはリンちゃんに話しかけ、呪文を唱えた。
――クマよ、クマクマ、クマの神
水の中から、土の中
地面の中を、歩かせて
明かりと息も できるよう
ポーリャの魔法で景色が水中から地面の中に変化する。
目の前にある道は明るく、洞窟さながらに広がっていた。