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挑戦あるのみ
「むしろ思い出せてよかった。ありがとうリンちゃん」
少し遠い目をしてから話すポーリャ。
「忘れようって思いばかりだったけど、大切な思いもあったんだって、気づけた」
「よかったですわね、ポーリャさん」
それでもリンちゃんはびくびくしていた。
「よくあることですわ。魔法では特に」
リンちゃんを励ます朝霧にうなずくポーリャ。
「挑戦することで初めて得られるものがありますわ」
その言葉にリンちゃんは顔を上げる。
兄も挑戦は大切、と口癖のように言っていた。
「朝霧さんが魔法上手なのも、挑戦しているから?」
上履きに履き替え、質問するポーリャ。
「ええ。日々《ひび》、練習です」
きっぱりと答える朝霧。
「気が滅入っても、続けることが大切ですわ」