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家族の時間は瞬く間
階段を下りた先には兄の姿があった。
「やあ。久しぶり」
「もー、来るなら来るって言ってよ、お兄ちゃん」
「いやあ、近くを通りがかったから、顔だけ出しておこうかなって」
「急に来るって連絡あって、びっくりしたよ」
「お母さん、部屋にノックしに行ったのよ」
兄と会話していると、父と母も参加する。
「だったら携帯買ってよ。学校にも持って行って良いみたいだし」
「そうね。何かあったときに便利だものね」
「じゃあお父さんと今週行ってみるかい?」
行くと返事をすると、兄はメモ用紙に連絡先を書くと、リンちゃんに手渡す。
「ありがとう、お兄ちゃん」
「じゃあまたね、元気そうでよかったよ」
「次はもっとゆっくりしていってね」
「明日がレポートの提出日だからね。次来るときはちゃんと連絡するよ」
兄はリンちゃんと約束すると車に荷物を運び入れ、清白家を後にした。