108/165
過去到来~病院~
* * * * *
「ここは……病院?」
リンちゃんが周囲を見渡すとポーリャがいた。
ポーリャの姿はリンちゃんと出会った頃を思い出す。
ベッドで横になっている男性の手を握っているポーリャ。
「父さんは頑張りすぎ」
「ははは、そうだね。倒れてしまっては心配をかけてしまうね」
「そう。だからここでゆっくりする。いくらみんなのためでも頑張りすぎは――」
「果物、いただきましたよ」
かごいっぱいの果物を持った女性がリンちゃんを通り抜けていく。
リンちゃんは部屋を出ようとすると、病室と廊下の間で何かにぶつかった。
(壁?透明な――)
楽しそうな会話が聞こえ、リンちゃんは目を閉じ、耳をふさいで叫ぶ。
「魔法さんもうやめて!私を家に戻して!」