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過去到来~駅~
* * * * *
暗闇が晴れると、リンちゃんは駅のホームにいた。
遠くには|タワーやスカイツリーが見える。
(ここって東京――)
「東京とは、しばらくお別れですわね」
朝霧の声が聞こえ、リンちゃんは声の出所を探す。
「次は二重崎白町ってところに行く予定だよ」
優しげな男性が朝霧の顔色をうかがいながら話す。
「大丈夫ですわ、お父様。出会いがあれば別れもありますし、友人知人が増える
ことは良いことですわ。すべては、考え方次第です」
きっぱりと答える朝霧。
(あれ?でもいつもより、若干声が震えているような……気のせい?)
女性がスーツケースを引いて男性と朝霧に声をかける。
その女性とリンちゃんが重なると、またボーンという音が聞こえた。