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浮かぶもの
カーテンと窓を開ける。
「きれいな夜――」
空に浮かぶに満天の星と満月。
きらめく夜空の輝きで、リンちゃんの心は一気に晴れ渡る。
直後にリンちゃんの脳裏に浮かぶ。
姫野先生と会った夜が、こと鮮やかに蘇ってきた。
「使おう、魔法を。これも練習」
リンちゃんは決意する。
「もしも、魔法がいつもみたいになったら、改めてポーちゃんたちに連絡しよう」
リンちゃんは覚悟を決めた顔になる。
窓とカーテンを閉め、杖を持ち、扉を開けるリンちゃん。
(少しでも成功率を上げよう。ボールやリボンに魔法はかけられたんだし)
リンちゃんは書斎に行き、扉を開けて、そのまま進む。
廊下の明かりを頼りに書斎のカーテンを開け、扉を閉める。
そして、リンちゃんは振り子が揺れている大時計と向かい合い、呪文を唱えた。