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いろんな顔
「結論から言うと、どっちも正しいから安心してね」
姫野先生はお茶を一口含み、リンちゃんとポーリャに話しかけた。
「基本はすごく大切なの。ポーリャさんの言うようにね」
ポーリャは得意げな顔をし、リンちゃんは渋い顔をする。
「経験を次に生かすことも同じぐらい大切なの」
リンちゃんがどや顔をし、ポーリャは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。
「一番大切なことは先を見据えることね」
姫野先生は、付け加えた。
「今より先の、はるか先を思い描いて動くことが一番大切って、先生は思うわ」
答えてまた、お茶を飲む姫野先生。
リンちゃんとポーリャはお互いを見つめ、頭を下げあう。
そしてお茶を口にするリンちゃんとポーリャ。
「いろんなことを見聞きして、身に着けられたら、素敵よね」
シンクロした動きを見て、顔が緩む姫野先生。
「好きこそものの上手なれ。いろんなものを好いていってね」
お茶の時間の終わりに、姫野先生は楽しそうにそう締めくくった。