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リンちゃんの目覚め
第一話 ふしぎなことと会いました
世界はふしぎであふれている――
ジリリと目覚ましが鳴り、ふくらんだ布団がもぞもぞと動く。
手がにゅっと出てきて目覚まし時計を止める。
「う、うん……」
「りっかさーん。早く朝ごはん食べにいらっしゃい。今日は入学式でしょう」
母親が一階から呼ぶ声が聞こえる。外では鳥が鳴いている。
「お母さん先に行くからね。りっかも早く起きてね」
りっかと呼ばれた少女は、布団から飛び起き、バタバタと階段を下りていく。
「待ってよ、お母さん」
「おはよう、りっかさん」
「もー、私のことはリンちゃんって呼んでよ。みんなもそう呼んでいるんだから」
リンちゃんはむすっとして母親に伝えた。