表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

78/83

78 戦う理由ができたようです


 大体の子供用品が揃うウサギちゃんマークの店の服をまとったミーティは、痩せてガリガリではあるものの大分見違えた。体重は少しずつ戻していけばいいと思う。


 昼にはインスタントラーメンを柔らかめに煮てみんなで食べた。ミーティも自分で食べることができるなら一安心だ。フォーク使用だったが。


 どうやらミーティは向こうの字も分からないようなので今はPCで子供用の教育番組の動画を見せている。これは食いつきが凄かった。動画サイトの使い方も動画タイトルの日本語は読めないものの何となく操作はできていた。この調子で日本語を覚えてしまってほしい。


「ではマイさん。子守りを頼みます」


「は~い。心配しなくても大丈夫~」


 アユミさんの強い希望もあり、9層の敵を倒しているマイさんにミーティの子守りをお任せして、その他のメンバーで9層レベル上げと10層への階段を探すことになっていた。


「ミーのレベルアップも試してみたいところですが体力が戻ってからですね」


「漫画やゲームもある程度やらせてからですか?」


「ええ、もちろん。ちゃんと神が見てくれていますから」


 そう言ってほほ笑むアユミさんは現地人のレベル上げとジョブシステムの検証もやりたそうだ。


「私もレベル上げ手伝います。むしろ任せてくれて大丈夫です」


 黒縁眼鏡にひっつめ髪となった地味めなアイリさんの鼻息が荒い。子供好きなんだろうか。ノアさんも頼まなくても手伝ってくれそうな顔をしている。

 やってくれるなら楽なので、とりあえずうんうんと同意しておいた。なんだかアユミさんの視線が冷ややかな気がするが。


「では安全第一で、早めに戻る感じで行きましょう」


 普段なら早く戻ろうなどとは言わないアユミさんの号令で我々は迷宮に潜り始めた。





「ノアさん前に出過ぎです!」


「すいませんっす!」


 今日は槍をたずさえたノアさんだが9層への道中で珍しく前のめりだ。前衛盾役が二人いるとは言え、前に出るには防具もスキルも持っているわけではない。戦闘に積極的になったというより、やはり今朝のミーティのことが影響しているようだ。


「焦らず行きましょう」


「……はいっす」


 せめて助けた人間くらいは守れるように……というところか。


 アユミさんの話ではノアさんは優しすぎて直接戦闘には向かないとのことだったので、どんな形であれ戦闘に対して覚悟や積極性が出るのは生き死にがかかっている現時点では望ましい。ミーティを助けたことはそんな副次的な効果も生んでいた。


「我々は基本後衛なので、間合いや立ち位置のポジショニングを気を付けてみるといいですよ」


「はいっす!」


 恐らく魔道士スキルを覚えてもらうことになるのだ。敵から攻撃されない位置から一方的に魔法矢を撃つといった射線位置の取り方なんかを意識してほしいところ。



 9層についてはアユミさんとアイリさんが盾役を交代しながらゴーレムの背中の急所を狙うことであっさり片が付いた。しかし10層への階段は見つからないまま3時間ほどで帰還したのだった。やはりそんなにすぐ階段が見つかるほど迷宮は甘くない。



感想や誤字報告ありがとうございます!

ダブルクリックくらいならしてやってもいいぞよという方はブクマ登録を、手違いで☆クリックしちゃうかもーという方は評価登録を何卒よろしくお願いします。


また下にもリンクがあるのですが更新を再開予定の「札幌でクソゲーを攻略するお仕事ですが、残業代は出ますか?」もお時間がある時にでも読んでもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お時間があれば札幌でクソゲーを攻略するお仕事ですが、残業代は出ますか?もよろしくです!

拙著ファンタジーには馴染めないコミカライズ第一巻、フロンティアワークスさんのFWコミックスから発売中!

再掲してますのでファンタジーには馴染めないもよろしくです!
― 新着の感想 ―
[気になる点] 〉恐らく魔道士スキルを覚えてもらうことになるのだ。 ノアさんですが63話で覚えたと書いていますけど?
[良い点] 一気読みさせていただきました。特徴としてはこのジャンルではほとんど見ないキャバ嬢の存在かと思います。私もそれが気になって読み始めましたから。 少し気になったのはその肝心のキャバ嬢の人物像や…
[一言] 一気に読んで最新まで追いついてしまいました 現代サイドでは現状何が起きているのか主人公視点だとさっぱり妖精なのでどうなるか楽しみにしています
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ