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47 すっかりパーティになっていました


「もうちょっと大きい盾が欲しいですね」


 晩飯後に再び迷宮に入り、猫ちゃん10匹とミイラを14体狩ってレベルが16まで追いつかれた頃、アユミさんがぼそりとつぶやいた。


 思っていた以上に前衛としては堂に入った立ち回りだった。こちらの攻撃を阻害しない位置取り、ヘイトを取るタイミング。敵の攻撃のいなし方からも、目の前の敵だけに集中しすぎていない。視野が広く周りが見えている。


 正直、舐めていた。夜のおねーちゃんに技量も体力もないだろうと。


「アユミさんって格闘技か何かやってました? 立ち回り上手いですね」


「いえ、中学の時にバスケやってたくらいです。タンク役はゲームくらいですね。思ったより攻撃がよく見えるのでなんとかなりそうです」


 レベルアップ効果だろうか。そんなホイホイと歴戦の戦士ができるものなのか?魂のレベルアップ恐るべし……でも黒いピカピカ的にはこっちの人の魂がレベルアップした方がいいのか。


「盾を新調したら次の階層に行きましょうか。自分もまだ倒せていないトンボがいるんですが」


「はい!」


「じゃ今日はここまでにしましょう」


 迷宮街はもう閉まっているのでまた今度だ。というかレベルがもうほとんど並んでしまって若干凹み気味だ。




 自宅に戻るとテーブルの上のスマホがちかちかと点滅していた。


 勝田さんかなと思えば昨日のアル中のマイさんだった。謝罪と感謝のメッセージが随分と沢山来ている……多過ぎないかこれ。


「あれ? マイさんじゃないですか。知り合いだったんですね」


 メッセージをスクロールしているとアユミさんに覗かれてしまった。


「昨日、ヒールしたんですけど経過も見た方が良さそうなんで連絡先交換したんですよね」


「あーなるほど。マイさん飲みますもんねぇ……。でもこれ全部マイさんからですか? あの人惚れっぽいというか……」


「というか?」


「ハマっちゃうんですよ。すぐその人の色になっちゃう」


 依存症なのはアルコールだけでなく恋愛についてものようだ。あまり聞きたくない。


「これまずくないですか?」


「うーん。まずいかまずくないかでいうとまずくはないような……。悪い人じゃないんですけどねぇ。バツイチアラサーなんだからもうちょっと落ち着けばいいのに」


 辛辣! 女子、辛辣!


「そうだ。マイさんに会員になってもらって武士の精神力向上を取ってもらえばいいんじゃないですかね!」


 金取ってスキルでメンタルヘルスとか。ナイスアイデア思い付いたみたいな顔をしているけどアユミさん恐ろしい子!


「ま、まぁそれはとりあえず置いておいて経過観察ですね」


「こういうのは早期発見、早期解決の方がいいと思いますよ。拗れる前に」


「……なるほど。ちなみにアユミさん的にお店の女性達が戦闘能力が高くなっちゃっても問題ないもんなんですかね?」


「んー。酔って暴れちゃう子もたまにはいるけど、魔法でお酒抜けるし大丈夫だと思いますよ。みんな小解毒使えるようにしちゃえばいいんですよ」


 小市民で小心者の自分とは考え方が違うようだ。魔法が広まって狙われるとかは考えすぎなんだろうか。


「マイさんと話をしてみますか」


「その方がマイさんのためになりますよきっと。今のマイさんなら怪しまずにのってくるでしょうし」


 ……やっぱり会員の勧誘って怪しいよね。魔法だスキルだなのだし。






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再掲してますのでファンタジーには馴染めないもよろしくです!
― 新着の感想 ―
[一言] 自分の収入源を積極的に減らしてますね。 タイトル的に分かってましたが、これはちょっと…。
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