26 ボスに遭遇しました
昼過ぎに朝昼合同飯を昨日の食堂で銀貨3枚のランチメニューを食べた後、迷宮に潜ったのだが今日は妙に人の気配が多い。
迂回しながら4層に着く頃には15時過ぎ。今日はもう迷宮街には行けなさそうだ。迷宮街は日が暮れる19時には大体どこも営業終了だ。晩飯はあきらめて日本で食べよう。
しかし、ソロでの迷宮探索はそろそろ限界に近いのかもしれない。
帰りの持ち物量も限界に近いのだが、行き帰り時間を考えると迷宮内で泊まり掛けになっていくだろう。寝袋で無防備に休息できるほど迷宮は甘くはないし、これ以上大きなリュックは戦闘に差し支える。
定番の奴隷制度とかはあるんだろうか。そういえば獣人もエルフもまだ見かけていない。今のところ異世界というよりビザなし海外渡航くらいの雰囲気だ。
「おっと。ここか」
スライムを潰しつつ、マッピングの途中から回っていると5層への階段を見つけた。4層を通過するには1時間弱というところか。狩場をどんどん変えていかなければならないこの世界の経験値システムには中々世知辛い距離感だ。
4層のマッピングはまだ完了してはいないが、宝箱も罠もなさそうな構造だったので下りてみることにした。
「……ボス部屋?」
階段の向こうは一本道で、薄暗くて見通せないが大きめの空間に繋がっている。
壁に潜むように進む。天井、床、通路はとりあえずオールグリーン。
「……デカイな……ベスか?」
空間を覗き込むと、直径3メートル級の薄紅色のスライムが天井からどろりと垂れ下がっていた。
「無理やな」
あれはこの刀の間合いじゃ無理だ。スライム初見の時の二の舞になる予感しかしない。槍じゃ、槍をもてぇい。
少しずつ後退り、撤退した。ボススライムは微動だにしていなかった。
仕方なくこの日は4層マッピング穴埋めして、日本製もやしラーメンを食べに行った。
前回より1ランク上に盛られたラーメンを啜りながら溜まったメールをチェックすると、フリマアプリから武器は売っちゃいけませんと警告がきていた。
刃物じゃなければいけるかと、軽い気持ちで出品するものじゃない。改めて規約を読んでみる。
「決済手数料は10%なのね」
用途が武器は出品禁止。グレーゾーンどころかアウトでした。売れたら売れたで振り込み手数料もかかるらしい。現金化に数日か。コンビニの宅急便で発送。細々とお金かかるのね。
メイス型ダンベルとかじゃだめ?
まぁ無理に売らなくてもいいか。物販は大人しく諦めよう。
明日は槍を探そう。先日も見たけど。




