23 現地でディナーしてみました
迷宮近くの食堂を探す。衛生面がしっかりしてそうなところが希望なのでオープンエアじゃないところがいい。
迷宮を囲む長屋の向かいにも同じような長屋があり、服屋や食品店などの小さい店がひしめき合っていた。眺めていくと何店舗か飲食店もあった。外目からではお値段は全くわからない。
「1番清潔そうなところにしよう」
清潔そうというか1番高そうな店構えの店に恐る恐る入っていく。高いとしても迷宮のそばなので王侯貴族が来るような値段ではないはず。多分。
「ランカエラー」
「1人なんですがいいですか?」
やってきた妙齢の店員さんに指を一本立てて聞く。あえて日本語で現地の言葉わかりませんアピールも忘れない。
にっこりとした営業スマイルの店員さんに大丈夫そうだと安堵する。案内されたのは2人掛けのテーブル席だ。掃除も行き届いており清潔そう。
奥の厨房から不審そうな視線を感じるが気にしない。
「ラメン? ナーク? ンー」
チキンorビーフ的な雰囲気でちょっと困った顔の店員さんに、品がないがテーブルに銀貨10枚を積む。ショートソード買えるくらいのお金があれば足りるだろうとの思惑だ。
「お任せで!」
愛想笑いしながら頷いたので何となく通じたのだろう。
同じサラダや付け合わせが乗った肉のソテーと魚のソテーが出てきた。メインディッシュ両方出しよったでコイツ。見せ金は銀貨5枚でよかったのか……。
まぁ、レベルアップした今なら何とかいける。昼飯抜きだったし。
パンはパンというより細長いナンだ。
脂少なめのステーキのような肉と白身魚の半身を薄い衣を付けて焼いたものを、二股のフォークとナイフで頂く。大体似たような道具なんだなぁ。
何肉か分からないが普通に美味しい。割と苦い野菜が多かったサラダにかけるドレッシングが弱すぎるくらいか。マヨネーズが欲しい。
銀貨10枚渡そうとしたら1枚返ってきたので、宿のおすすめを聞く。寝んねしてジェスチャーしつつ、ボードにチョークでお絵描きタイム。部屋にベッド1つだけ、部屋にベッドが沢山ある絵には大きくバツ印を描いた。俺の描く棒人間に店員さんが大袈裟に喜んでいるがそこじゃない。
「この辺にどっかある?」
指をグリグリしながら聞いてみると、思い当たったのか壁を指差したがそれじゃ分からん。
迷宮と長屋とここの位置の地図をざっくりと書いたら店員さんが宿の場所を書き足してくれた。
「ラマダー!」
お釣りを宿を教えてくれたチップとして渡した店員さんに笑顔で見送られ、手を振り返す。堪能した。また来よう。次はメインディッシュどっちかだけで。
銀貨5枚もスライム10匹分と考えるときっと中々の高級店なのだろう。
野菜も付いているし、何気に現地通貨の使い道が乏しいので晩飯はこっちで食べるのもありかもしれない。




