13 教会に行きました
宿っぽい建物も見つけたが交渉は諦めた。個室なんてのはビジネスホテルが多い現代社会だから一般的なだけで相部屋が基本だろうし値段交渉も無理だ。やっぱり不審者として通報されそう。
不審者は不審者らしく、眠い目を擦りつつ路上で朝を迎えた。
教会の門が開く。
まだだ。
やってきた参拝者の後を追う。
お布施は銀貨でいいだろう。前の人を真似て募金箱のような箱に入れる。
奥に進んでいくと白くて丸い球体が浮かんでいる台座があり、手前の広間で想い想いに膝をつき拝む仕組みらしい。
手の組み方は手のひらを90度交差の合掌のようだ。
では失礼して。
この世界にお邪魔しています神様……。
『あなたの魂強度は5です。職業技能は……ユーザー権限、パワーユーザーにグラント。スキルツリーのマニュアルオペレーションを付与します。残りスキルポイントは5です』
おお……なんか急に和製英語が多くなったけどキタ。スキルツリー! パワーユーザーってなんぞ?
分かる、分かるぞ。
農民 - 持久力向上(必要1SP)
武闘家 - 動体視力向上(必要2SP)
シーフ - 敏捷向上(必要1SP)
戦士 - 強撃(必要2SP)
脳裏に浮かぶスキルツリー。どれか取得すると次の新しいスキルが出てくる仕様で、今は何も取っていない状態のようだ。普通の現地の人はスキルは神から授かるものという先入観からスキルポイントが自動割り振りされているみたいなので、その点はゲームに親しんでいる現代日本人は有利だ。
スキルポイントの操作はあの球体の前でしかできないのがもどかしい。白い球欲しい。そして回復職がない。SPは残しておかねば。
「敏捷向上を下さい」
農民 - 持久力向上(必要1SP)
武闘家 - 動体視力向上(必要2SP)
シーフ - 敏捷向上
身体制御向上 - (必要2SP)
暗視向上 - (必要2SP)
戦士 - 強撃(必要2SP)
残りSP 4
実験に無駄にならないパッシブスキルな敏捷向上を取ってみたがなるほど。動体視力向上とか暗視向上も欲しいなぁ。でもSP2か……。身体制御は器用さのようだ。
後ろ髪引かれるがここまでにしよう。向上が付いているパッシブスキルが魅力的過ぎる。どれを取っても役に立ちそうだがまた来れる。
次は治療院を探してみる。教会といえば呪いを解いたり蘇生したりしてくれる施設が付随してて然るべき!
塀で囲まれた教会の敷地内には宿舎のような二階建ての建物と事務所のような建物があった。消去法で事務所を窺うと早い時間のせいか誰もいなかった。
回復魔法は見れなかったが、いい加減眠いので武器防具を物色して帰ることにする。