1、新たな生活
バリバリと、引き剥がしたガムテープを荷物の詰まった段ボールに、隙間が無いように丁寧に貼り付ける。
「これで良し。」
元から荷物は少ないので、荷づくりは早く終わり時間が余ってしまった。
改めて片付いた部屋を見渡すと、まるで別の部屋のように広く、そして少し懐かしい感じがした。
少しの懐かしさに浸りつつも、無くさないようにと、備え付けのベッドの上に置いていた一枚の封筒を手にとる。
封筒には星島学園と記されている、入学通知だ。
中には許可書や課題、入学当日の日程などが入っていた。
これを渡された日を思い出す。
「ほれ、これに目を通しておけ。」
唐突に星島学園と記された封筒を渡された。
「珍しいですね。」
「…ん、何が珍しい?」
この人は水守玄、俺の祖父だ血は繋がってってないが少なくとも、俺はこの人の孫だと思っている。
話はそれたが、この水守玄という人は普段は眉間にシワを寄せ、口は一の字を書いたかのように結ばれていて、お世辞にも愛想のいい人とは、言えない人だった。
そんな人がここまで表情をゆるめているのは、とても珍しい事だ。
「とても嬉しいそうなのが、珍しく思ったので。」
「む、そうか……」
本当にどうしたのだろうか、今日は良く表情が変わる。
「まぁ…孫が晴れ舞台に立つんだ、嬉しいに決まっているだろ?」
本人は引き締まった表情をつくっている、つもりだろうが、やはり嬉しいそうに見えてしまう。
「前々から言っていたが、お前の入学が正式に決まった。」
祖父の目線を追うように、星島学園の文字に目を落とす。
「慣れない事で苦労はするだろうが、今のお前には必要なことだ。もちろん楽しいこともある、今は、何も分からなくていい。」
まるで何かを思い出すかのように、息を吸いながら俺の目を真っ直ぐに見てくる。
「これは、あいつの願いでもあったんだ。だからお前は、お前が本来送るべき生活を送ってくれ。継義」
回想しながらも整理した荷物を一か所にまとめ、引っ越しの準備を終わらせた。
荷物は、後で取りに来てくれるそうなのでそのままにしておく。
出発の時間だ、名残惜しい気持ちと共に部屋出る。扉を閉める直前思いとどまり、最後にもう一度部屋を見渡した。
「行ってきますっ!」
ビシッと敬礼をして俺は部屋を出た。
行ってらっしゃい、そう聞こえたようなきがした。




