車の中で
デート当日。
私は普段着とは違う女の子っぽい服を身につけ、髪型も整えて、香水もつけたりしていた。
自分なりに、なかなかの完成度だ。
彼は、家の近くまで迎えに来てくれたりして私は、その優しさが嬉しかった。
「 今日は遊園地に行こう! 」
車で迎えに来てくれた彼は、高校生の私からすると大人の男性に見える。
車の中で流れる音楽も洋楽で、大人の仲間入りをしたようなそんな気分だ。
美容室で見る彼とはあきらかに違う。
服装も喋り方も違う。自分が特別な存在になれたような錯覚を感じてしまう。
知らない一面が見れたようで、私の心の中は大はしゃぎしている。
胸がドキドキして、私は完全に乙女になっていた。
「 今日はいつも以上に可愛いね! 」
「 ありがとうございます!」
あまり褒められる事がなかった私は、嬉しくてたまらなかった。
好きと言ってしまおうかと思ったけど、やっぱり言えない。
いつも以上にカッコよく見えてしまう。
信号で止まる度に、彼は携帯を気にしていた。
誰か、連絡がくるのかな?くらいにしか思っていなかった。
しばらく車を走らせて、遊園地が見えてきていた。
「 そろそろ着くよ 」
あの頃の私は、その彼が特別で何をしてもカッコイイ!!
ただそれだけで、恋の魔法にかかってしまっていたのだろう。
まだまだこれからが、私の胸きゅんデートの始まりだった。