1話 星の巫女
初投稿です。
――この世界は俺にとって鳥かごの中と同じだ。
俺の名前は京極天麻 十七歳童貞 理由あって学校は辞めた。
おっと勘違いするな、いじめにあったわけじゃないし、どっかのラノベの主人公みたいに不治の病ってわけでもない。
単純に……面白くなかった。
それだけだ。
じゃあ今俺が何をしているかというと、家で自学に励むわけでも、働いている訳でもない。
しいて言うならばゲームに勤しんでいる。
つまりは“ニート”ってわけだ。
この世界で俺の欲求を満たしてくれるのはゲームくらいのものだ。
「今日って確か新発売のゲームの発売日だったけ」
俺の記憶によると、今日は十月十七日の……何曜日だったっけな。
引きこもりの曜日感覚なんてあてにならない。
長期休暇の時によくなるアレだよアレ。
「引きこもりなんて年中長期休暇みたいなものだからな」
何曜日だろうが学校に行かない俺には関係のない話だからな。
でも引きこもりの日にち感覚は舐めてもらっちゃ困るぜ。
なんてったってゲームの発売日やアップデート日、イベントの開催期間を抑えるのはゲーマーの一人として当たり前のことだからな。
そんなことを思いながらパソコンを起動させ、日にちを確認する。
そこには、
10月17日(金)快晴
と表示されていた。
よかった日にちは合っていた。
確認を終えた俺は早速新作ゲームを購入するため、ネットショッピングのページを開く。
そこでとあることに気が付いた。
「ちっ、店舗販売限定かよ」
このご時世にネット販売をしないなんて、俺たち引きこもりに不親切にもほどがある。
こんな雑な商売じゃ顧客も離れていくぞまったく……
ともあれ、店舗販売ということは外に出なければいけない。
「嫌だなぁ」
しかしあのゲームのためにはそんなことも言ってられない。
なんせずっと期待して待っていたゲームなのだ。
仕方なく部屋の隅にあるタンスに手を伸ばす。
パジャマ以外の服を着るなんて久々だな。
服なんて中学生以来買ってないし、小さくなっていてもおかしくない。
「まだ着れるって事は成長してないのかよ俺」
思いのほか自分の体にジャストフィットした服とズボンに哀感を抱きながら着替えを済ます。
着替え終わった俺は二階にある自室から一階にある玄関へ向かい、扉へと手を掛けた。
「うおっ」
外に出ると大地を焦がさんと照りつける日差しが俺の目に飛び込んでくる。
かなり眩しいな。
パソコンに晴れと表示されていたから多少の覚悟はしていたが、ここまでとはまいった。
しかし、久々の太陽光も案外悪くないと感じる。
そんなことを思いながら昔よく通っていたゲームショップへ足を向ける。
俺の家からゲームショップまではさほど遠いわけではないが、人通りや車通りが少ないせいでやけに遠く感じる。
十分くらい歩くと、ホビーショップ北田という看板が見えてきた。
少しボロッちい見た目をしているが、こんな田舎にゲームショップがあるだけ幸いだろう。
「この店も変わってねーな」
小さい頃は母親とおもちゃを買いによくここに来ていたが、母親が父親と離婚して都会に働きに行ってからすっかり来ることのなくなっていた。
「いらっしゃーい!」
中に入ると若い女の人の声が響いた。
昔は七十歳くらいのおばあちゃんだった気がしたんだがな。
そんな野暮ったいことを思いながら目当ての商品を探すと、本日発売という立て札とともにレジの横で大々的に売られている。
田舎の店なのに昔っから品ぞろえはいいんだよなココ。
「有難うございましたー!」
買い物を済ませ、ゲームの入った袋を左手にぶら下げながら俺は、ふと空き地の方に目を向けた。
すると、さぞかしリアルが充実しているだろう俺と年齢が変わらないくらいのイケメン君とカワイイ子がキャッキャウフフと会話をしている。
――ちゃんと学校に通っていれば、俺もあんな風に……
自分の容姿はイケメンとまではいわないが、悪くはない方だと自負しているからな。
いや、こんなこと考えるのはやめておこう。
高校を辞めたことに対して後悔はしていない。
そう思った直後、
「きゃァアアアア!」 「うわァアアアア!」
男女の悲鳴が空き地全体に響き渡る。
二人の会話から察するに、人がトラックに轢かれたらしい。
物騒な世の中だ。
そう思い振り返ろうとするも体が動かない。体が重すぎる。
まさか、まさか、嘘だろ!
轢かれたのは……俺!?
確かに空き地ばかり気にしていて前を向いていなかった。
完全に俺の不注意だ。
体から流れ出る血の感覚が伝わってくる。
このまま死ぬのか俺は。
やっぱり家から出るんじゃなかった……
「いやまて、意識は残ってるじゃないか!まだ死んでいないぞ俺は!」
そう心の中で叫ぶと、どこからともなく女の人の声がした。
「いいえ。あなたは死にました。まぎれもなく死人です。」
聞き終わると同時に俺の視界は青白いは光に包まれた。
「ぐっ、」
しかしその光はほんの数秒もしないうちに消えてしまった。
この眩しさは今日で二度目だ。確か一度目は、、そうそうこんな風に家から出ようと……
「なん、、、、だと、」
俺の目に映っていたのは見覚えのある景色、というか俺の家の玄関そのものだった。
俺は、さっき出たはずの玄関に立っていた。
どうなてるんだ?
俺の頭のスペックでは処理が追い付いていない。
一度にたくさんの不可解な事実が起こりすぎた。
ラノベ的展開で例えるなら俺の死をトリガーに世界がループしているってやつじゃないのか?
なんだよそれ、re:ゼロから始めるニート生活ってか?
ちっとも笑えないぞ。
「普通に考えて白昼夢だろうな。疲れすぎだなこりゃ」
そんなことをつぶやいていると左手に重みを感じた。ふとその手を見ると、
「おいおい!なんだってんだよ!!」
そこにはさっき行ったばかりのゲームショップの袋がぶら下がっている。
さらに、驚愕している俺に後ろから声がかかってきた。
「ちょっとー。 私のことは無視ですかー。」
俺が車に轢かれた時と同じ声だ。
振り返ってみると、そこには紅の髪をなびかせる美少女が俺の家の廊下に立っていた。
いや、正確には浮いていたという表現が正しいのだろう。
「私の名前は星の巫女アリシア。貴方は私と共に戦うためにこの世界へ来たの!さっそく、契約の儀をかわすのよ!」
そう言い切った彼女は俺を見て満面の笑みを浮かべた。
「、、、、、は?」
まだパニック状態の俺はそう言って首をかしげることしかできなかった。
初めまして護池出井子です。今はやり(?)の異世界転生ものです。投稿期間はバラバラになると思います。よろしくお願いいたします。




