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6.召喚士と錆び付いた剣

 ショーマは、魔力循環の訓練を終えたあと、朝食を食べて再び部屋に戻ってきた。

 すぐにはギルドに出発しない。

 ガルのことについて、色々聞きたいと思ったからだ。


「なぁ、親友。お前の事を少し教えてくれないか?」


 ショーマは始め、ガルは動けない種類のリビングソードの類だと思っていた。

 だが、ガルは自分の身体を、『この剣』と呼んでいた。

 まるで、自分と剣は別物であるかのような口振りだった。そこに違和感を覚えたのだ。


「ほう、我について知りたいか!良かろう!」


 そこからガルの身の上話が始まる。


「我はな、真の姿は世界を震撼させた悪の竜剣士なのだ。色々あって今はこの剣に封印されておるがの」


 凄いであろう?とガルは誇らしげだ。


「いやいや、本当に悪い奴は自分の事を悪なんて言わないだろ」


 大体悪い奴というのは、いい人のフリをして近づいてくるものだ。


「嘘ではない。人間が我のことをそう呼んでいたのだからな」


 ショーマには、どうしてもそんな風には感じられない。


「人間に何かしたのか?」

「我の住処に入ってきた人間が攻撃してきたから、返り討ちにしてやったのである。そうしたらもっと大人数でやって来たから、それも返り討ちにしてやった。そうしたらさらに大人数で⋯⋯」


 それを繰り返してたら、雪だるま式に騒ぎが大きくなっていき、なんだか世界規模の大戦になっていったそうな。

 へー、世界大戦って、そんな成り行きで起きるものだったのね。

 最終的に、人間側が全世界連合軍+勇者+神みたいなオールスター軍を揃えてきて、この剣にガルが封印されるに至ったらしい。

 実際のところ、人間は殆ど役に立っておらず、ガルVS神の怪獣大決戦みたいになっていたみたいだ。

 "神"と聞いて一瞬、夢に出てきたエロ女神(仮)さんの事を思い出したが、まぁ流石に関係ないだろう。


「神に我等の常識は通じないからの! 流石に相打ちが精一杯であったわ!」


 ガルは笑いながら語る。あ、それでも相打ちだったのね。

 ガル先生凄い、先生の強さは神クラスなんですか、へー。

 ショーマは本当か嘘か判断しかねる規模の話過ぎて話を飲み込み切れず、一旦話半分に受け入れておくことにした。


 大戦後にガルは、自らが使っていたこの剣に封印されると共に、厳重に保管されていた。

 魔力伝導率の高いこの剣は、封印の媒介にするには丁度良かったみたいだ。


 そして、封印から長い年月が経ち、この度めでたくショーマに召喚された。

 長い間暇してたから丁度良かった、とガルは言う。

 そりゃー良かった、とショーマは返すが、内心気が気でない。


 世界規模大戦の原因となった魔物が封印された剣が、いきなり無くなったとしたら、現地は今頃大変な騒ぎになっているのではないだろうか。

 多分、『この剣には決して触れてはならぬ。掟を破った者は死を持って償う』とかいう村の掟とかがあったりなかったりするのではなかろうか。


 仮にガルの話が本当だったとしたら、この状況がバレたらかなりヤバい。吊るし上げられて晒し首になるかもしれない。

 ガルのことについてはあんまり他の人に言わない方が良さそうだ。



──────



 ガルの過去話を一通り聞いたあと、ショーマは二日連続ギルドにやって来ていた。

 今日も今日とて、やるのは兎刈りだ。

 本当なら避けて通りたい道、しかし自警ギルドでやっていく為には何としても克服せねばならない。

 あと、もっとランクの高い魔物と戦うのはまだ怖い。


 ラブラビットを見つけては戦い、涙を流す。見つけて、戦い、涙を流す。


 それを繰り返す途中、魔力循環と魔力循環(対物)を試してみる。

 まずは魔力循環による防御力アップについてわかったことは、ガルの補助有りと無しではやはり、かなり差がでるということ。

 ガルの補助有りの時は、ラブラビットに蹴られても、元の世界の猫パンチ位の威力しかなかった。(兎だが)

 ガルの補助無しだと、タイキックくらい痛い。


 それから、攻撃について。

 攻撃は、もう、攻撃"力"とかいうレベルの話ではない。


 ガルの補助無しだとラブラビットに攻撃が(かす)りもしない。

 ショーマに剣の心得など無い。学校の授業で数回剣道をやった程度だ。

 そんな剣術素人のショーマに、魔物と戦う技量などないのは当然だ。

 まぁ、やっぱりモフモフを攻撃するのに躊躇(ためら)いがあるというのも原因ではあるが。


「ふむ、これは⋯しばらく我の補助が必要だの」


 ガル先生におんぶにだっこ状態で気が引けるショーマだったが、

 召喚士というのはそもそもそういう職だったな、と思い出す。

 召喚士が前に出て自分で戦っている時点でおかしいのだから、これ位は許して貰いたい、と開き直る事にした。変に意地を張って死んでも嫌だし。


 ガルの助けを貰いながらラブラビットを倒していく。

 ショーマは世界を呪った。


 この世界は何故に魔物がモフモフしているのか。

 ラブラビット討伐依頼の他に、◯◯ウルフとか、◯◯キャットとか、◯◯シープとか、明らかにモフモフな魔物の依頼が出ている。

 ラブラビットでこんなに苦労しているのに、もっと高ランクで、もっとモフモフの魔物が相手だったら⋯⋯。

 ショーマは恐怖する。

 恐らく今のショーマでは手も足も出ない。


「ガル!もう少し付き合ってくれ!この涙が、この俺の涙が枯れるまで!」

「何であるか、急にキャラが変わっておるぞ。またあのモフモフ病か?」


 なぜか涙を流しながら、錆びた剣でラブラビットを狩るショーマの姿を見て、人々は彼をこう呼んだ。


涙で錆び付いた剣(ティアーズ・ソード)』と。





明けましておめでとうございます。

ショーマはこれからどんどん強くなっていきま す。

ヒロインも出てきます。

今年もよろしくお願い致します。


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