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07フリーズドライ

ここではフリーズドライについて説明します。


文中で「フリーズドライします」とか、さらっと書いていますが真空ポンプとかど

うするんだという事になりますよね。


1909年、実際にフリーズドライが物質の保存を目的として使用されました。

凍結させた食品を真空状態で、水分を昇華させて乾燥させる技術です。

水分の昇華(沸騰)は圧力(気圧)1013hPaでは100度です。お湯の沸騰です。

しかし圧力(気圧)0006hPaでは0度です。0度で沸騰するのです。

挿絵(By みてみん)

この場合は氷(固相)から水蒸気(気相)に一気に変化します。

フリーズドライ食品では風味と味を保つために急速冷凍しますが、ペニシリンを実

験室でやる場合は減圧留去というまったりした方法を使います。


ここで必要なのは、空気を0006hPaに減圧する真空ポンプと試薬を冷やすエバポレ

イター(減圧留去)です。それではまず歴史から。


真空ポンプは1650年に発明されました。

マクデブルクの半球の実験が有名です。空気を抜いた二つの鉄の半球はぴったりと

くっついて、どんなに引っ張っても外れません。

挿絵(By みてみん)

自転車の空気入れみたいな要領でスコスコ空気を抜いていきました。大人二人がか

りで引っ張っても外れない絵図が残っています(The first vacuum pump)。


このあとBoyle's vacuum pumpというのが発明されます。

さすがに真空ポンプも最初は調子がいいですが、だんだん真空に近くなってくると

人間の力ではもう引けません。そこでラックとピニオンの登場です。

引く力を回転力に換えてハンドルを付ければ小さい回転力で大きく引ける筈です。

装置はガラス球と空気を抜くピストンとシリンダから出来ています。

挿絵(By みてみん)

真空ポンプの使用方法。

最初はガラス球に空気が入っています。

①栓を閉じる

②ハンドルを回してピストンを上げる。この時ピストンの栓は開いています。

③栓を開ける

④ハンドルを回してピストンを上げる。この時ピストンの栓は閉じています。

これを繰り返してガラス球の空気を少しづつ抜いて(脱気して)真空にします。


ただこの方式だと少ししか引けません。最初のポンプではじめは大きく引き、後で

このポンプを使うと良いでしょう。


次にエバポレイター(減圧留去)です。


真空ポンプによって減圧することにより沸点が下がり、溶媒が沸騰し始め、溶液分

が蒸発を始めます。蒸発してきた液体が冷却装置で冷やされて凝集して液体に戻り

溶媒受けに溜まる感じです。

挿絵(By みてみん)

突沸を防ぐためにフラスコを回転させる機構をもっているものもあります。

突沸とは味噌汁を温め直しているとバンッっていうアレです。静かに熱している液

体が突発的に激しい沸騰を起こす現象です。


エバポレイターの使い方です。

①冷却するガラス管に冷却水を通します

②フラスコにペニシリン溶液を入れて、エバポレーターにセットします

③水浴にフラスコを入れ回転を開始します

④真空ポンプを作動させて減圧沸騰を開始します

⑤必要なら水浴を25~35℃に温めます

⑥蒸発の程度をみながら、減圧と温度の調整をします

⑦沸騰と蒸発が収まったら、真空ポンプを止めて、コックより開圧します


あとはフリーズドライで結晶になったペニシリンがフラスコの壁にこびりついてい

ますので、こそげ落としてください。

これでペニシリンの結晶が入手できました。

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