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研究所脱出編4

 それは暗幕をくぐり歩いてきた。先ほどとは違い、(ウィング)が六本に増えて大きさも元の二倍くらい

に肥大していた。全体から気迫のようなものを放出し、今にも襲いかかってきそうだ。

「・・・吸収したのか、あれ全部」

 あのクローンすべてを吸収したとしたら無闇に近づくのは自殺行為だ。確実に強くなっているし、まずは様子を見ながら回避中心で行こう。俺は再び血喰を出し、後ずさりしながら敵を観察する。

 奴は右腕を前に突き出し突進してくる。首をそらして回避し、右腕で顔を切り裂こうとするが、翼でガードされてしまう。大きく後ろに跳んで距離を取り、ダッシュの速さを乗せた突きを繰り出す。翼ではじかれるが、そこに左での突きも加える。これは入った!と思ったが、両腕でガードされてしまう。そのまま腕を振り払われ吹き飛ばされてしまう。

 力や速さもそうだが、知性が著しく上昇している。このまま普通に戦っていても持久力で負けてしまう。そう考えている間にも奴は距離を詰めて接近戦を挑んでくる。血喰は巨大化しているが、小さな体躯のままなので攻撃も当たりづらい。性質上血喰には攻撃がききづらいので、必然的に血喰の無い場所を狙うことになるが、体積が小さいのであたる面積も小さくなる。

 短いリーチ、しかし高速の体術をさばきながらなんとか対抗策を考える。翼が厄介だな・・・。伸縮自在、堅さや鋭さも操作可能でしかも六本ある。さっきの俺なら翼が使えたのだが、一度解除してしまった結果、キャパシティが足りず、両腕の血喰しか出せなくなってしまった。おそらく吸血による一時的な能力の増加だろう。とにかく、今をどうするかだ。逃げ続けていてもしょうがないし・・・。

 その時、翼が伸びて三方向から攻撃が来る。2つは両腕で防ぐが、もうひとつが背中に突き刺さる。

「ぐあっ!」

 直ぐに抜かれるが、血を吐き、膝をつく。空いた穴から血液が大量に流れ出す。思わず血喰を解除し、傷口を抑える。・・・くそっ、吸血鬼の弱点は血喰か。傷が治らない。・・・ん?吸血鬼の弱点?

 俺の脳内に資料室で見た研究資料がフラッシュバックする。そうか!いくら奴といえど銀器で攻撃すればのの傷は浅くはないはず。どこかに・・・あるはずだ!

 俺は傷の痛みも忘れ、一目散に部屋の外へ出る。さすがにこの動きは予想外だったようで、無事に部屋の外に出ることに成功する。しかし一つ目の角を曲がったところで痛みが再度俺の傷口に走る。そのせいで傷口を抑えながら歩くことになってしまう。

 ・・・地図、見取り図があれば、資料室にあるか?そう思って下の階に降りて資料室に向かう。暗闇のお蔭か、まだ近くに気配はない。

 ・・・あった。資料室に入り、棚を探すこと五分くらい。ようやくこの建物の見取り図を入手する。銀器保管室は・・・?三階の一番奥か。

 と、その時。部屋の外に奴の気配を察知する。・・・まずい。隠れられそうな場所は・・・本棚の陰?いや、すぐ見つかってしまう。机の下?いやいや、ダメだ。じゃあ・・・ここしかないか。

 見つかりませんように・・・。そう思いながら俺はとある場所に身をひそめた。

 

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