表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/54

VS捜査官!編9

 龍騎りゅうきが能力を発動した瞬間、世界は色を失い全ての時間が停止した。体を動かすことも出来ない。

「どうだ!この一秒だけ時間を止められる俺の進化した能力!・・・知覚できねえから聞こえてねえか」

 そういうと龍騎は両腕の血喰を連射し、俺の目の前で銃弾を停止させる。

「これで、終わりだァ!」

 俺の体の周りに大量の銃弾が停止している。この状況を脱するには、時が動き出した瞬間にすべての銃弾を弾き飛ばすしかない。

 徐々に色が戻っていき、少しづつ動き出す時間の中、ウィングを総動員させ、背後の銃弾を弾き切る。しかし、正面の銃弾のいくつかは突破し、俺の体に突き刺さり、後ろに軽く吹っ飛ばされた俺にとどめと言わんばかりの龍騎の鋭い蹴りが入る。

 蹴りの威力は凄まじく、学校のガラスを突き破り俺は廊下の壁に激突した。床に崩れ落ち、血が床に広がる。

 蹴りによるダメージはそれほどでもないが、血喰による銃弾のダメージは大きい。どうやら血喰で受けた傷は回復が遅いらしく、なかなか傷が収まる様子がない。血喰の損傷も大きく、まともに機能するかどうかも怪しい状態と言えるだろう。

 その時、ガラスを割って入ってくる人影が三つ。朦朧とした意識の中、そのうちの一人が成実なみだとわかる。

紅夜こうや!よかった。まだ生きてる!」

「速くどこかの教室に運ぼう。ここは危ない」

 後ろから彩斗あやとの声も聞こえる。

「そうね。とりあえず一番近い教室に運んで手当をしましょう。話はそのあと。・・・せーの」

 俺は三人に運ばれて手近な教室に入る。



杏樹あんじゅちゃん。お願い」

 杏樹と呼ばれた三人目は、赤いフード付きのマントを身に着けた幼い少女だった。幼いながらも整った顔立ちをしており、子役か何かと勘違いされそうだ。

「は、はい・・・やってみます」

 そういうと杏樹は両手を俺の傷口に当て、力を籠め始める。すると、みるみる俺の傷がふさがっていく。血喰も満足に動くようになり、龍騎との戦闘前の様に俺の肉体は回復していた。

「だ、大丈夫・・・ですか?」

「ああ・・・すごい。なんともない」

「彼女は栗山くりやま杏樹。年齢はまだ10歳だけど、彼女は純血の吸血鬼。君より吸血鬼歴は先輩だよ」 

「よ、よろしくお願いします。紅夜さん」

「ああ、よろしく。・・・俺を直した力はなんなんだ?」

「あの、その、私の追加効果エフェクトで、共有シェアって言うんですけど。誰かの血喰エネルギーを奪ったり、与えたりできるんです。条件は一つだけで、私が対象者に触れることです」

「便利な能力でしょ?」

 確かに便利だ。貯蔵や回復、奪取や自己強化も可能なんて。

「それで、何があったんだ?」

 彩斗が俺に尋ねる。

「ああ、それがな・・・」

 俺は事の顛末を三人に話す。

「・・・ってことがあったんだ」

「追加効果の強化か・・・。一秒だけとはいえ、時間停止は強力な能力だ。・・・っていうか、なんで紅夜はそれを知覚できたんだ?」

 確かに・・・。普通の人間には止まっている時間は認識できないはず。

「可能性としては二つ。龍騎の能力が不完全な物か、紅夜が時間操作系の追加効果を持っているか」

「・・・少なくとも、俺はまだ追加効果は使えない」

「まあ、それは後で考えるとして、実はまだ龍騎が校内にいるんだ」

「・・・それ、まずくないか」

「かなりまずい。それに、秘宝が眠る学校っていうのはここなんだ。ここを渡すと秘宝は奪われたも同然。だから、ここは絶対に守らなくちゃいけないんだ。だから・・・」

「だから?」

「ここで、奴を仕留める」




   

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ