VS捜査官!編7
校庭の砂をザッ、ザッと踏み、赤いジャケットを着た白髪の人間が現れる。体格や背丈から見て若い男性ということがわかった。しかし、その手にはおおよそ人間の物とは思えない異形の物を纏っていた。禍々しくも鮮やかな色を放っている、「それ」をこちらに向けることなく、男性は歩いてくる。
この男性・・・、まさか、
「・・・?俺のことを知ってる顔してんなァ。誰だお前」
間違いない。ビスケファミリーの幹部、十勝龍騎だ。
「・・・十勝龍騎・・・だな?」
「ヘッ・・・。またルビーか。さっきの部隊はよォ。俺が全部片付けちゃったんだよォ!」
・・・一部隊をほぼ無傷で殲滅とは、幹部というのはやはり只者ではない・・・。
「だから!ここで!お前も!殺す!」
そういうと素早く龍騎は身をかがめ、こちらに猛スピードで迫る。
確か龍騎の追加効果は加速・・・。速い!
「速い!とか思ってんのか?残念。速いのはここからだァ!」
急に龍騎は目の前で止まり、両腕の血喰を展開する。手首の辺りから銃口が現れ、こちらを向いて発射モーションに移る。
ギリギリでそれに反応した俺は、翼の血喰を展開して弾がくる予測位置に翼を伸ばして銃弾を防ぐ。しかし、銃弾はおとりだったらしく、翼の隙間に龍騎の右ストレートが突き刺さる。血喰による攻撃では無い為、致命傷にはいたらなかったが、校庭の端まで吹っ飛ばされ、地面に転がる。
格闘もできるのか・・・。事前情報どおりだが、思っていたよりもはるかに速い。しかも、あの口ぶりからしてまだ追加効果は使っていないはず。あと少しで救援が来るはずだが・・・。
「他の事考えてんじゃねえぞこらァ!」
龍騎が迫る前に右腕の血喰も展開しておく。ゆっくり歩いてくる龍騎だが、途端にその速さを変え高速でダッシュする。
反撃を試みて、こちらもダッシュし、右腕の血喰を構える。間合いに入った瞬間、左から右への振り払い、一回転して再び左から右への振り払い、右の突き、翼の追撃を連続で繰り出すが、すべて躱されて空中から射撃が来る。かろうじて翼で防ぐが、両腕の為スピードが速く、防御に専念せざるを得ない。
「オラオラァ!そんなもんかァ!」
「くそ・・・」
このままではジリ貧だ・・・。相手の着地に合わせて突進するも、腕をつかまれ投げ飛ばされてしまう。
「この程度か・・・いいや、死ね」
投げ飛ばされて空中の無防備な俺に無慈悲な連射が迫る。
その時迫る影が一つ・・・。