VS捜査官!編5
「知ってるか?うちのクラス転校生が来たらしいぜ?」
「そりゃ私は学校行ってたから知ってますよ」
そうか、成実も彩斗も普通に通っていたんだっけ。
「あ、そうか・・・どんなやつだった?」
そういうと急に耳元に口を近づけ、
「どうもミカエルの小隊長らしいの。若くして隊長になった天才らしいから、十分気を付けてね」
「敵・・・ってことか?」
「一応、ね」
そうか・・・少し残念だな。
学校について自分のクラスに入る。窓側前から三番目が俺の席だ。数日休んでいたのでいろいろと質問をされたりして、騒がしい時間になった。
やっと席にたどり着くと、後ろの席の友人である倉田が話しかけてくる。
「・・・もう大丈夫なのか?」
倉田も両親を失っており、祖母と妹と三人で暮らしてるそうだ。
「ああ、もう平気さ。それよか転校生って誰の事なんだ?」
ちなみに、転校生の事を教えてくれたのも倉田だ。
「おう、それならあいつのことだぜ」
倉田が指した先には女子に囲まれている一人の男子生徒が。そして俺の顔を見て駆け寄ってくる。
やばい、気づかれたのか・・・。
「君が、暁紅夜君かい?」
「お、おう。そっちは?」
「これは失礼。僕は星河伊織。ミカエル所属。第六小隊隊長も務めている」
小隊長っていうのは本当みたいだな。この年で小隊長とは・・・。
「へえ・・・すごいんだな」
「僕にはある目的があってね・・・」
その時担任が入ってきたので、話を中止し自分の席に戻る。
自分の席で彼・・・伊織の事を考える。一目見た限りでは普通の人間となんら変わらなかった。強さはもちろん、あのクローンから感じたプレッシャーも全く伝わってこなかった。
しかし、自分で隊長と言っているなら隊長なのだろう。成実の言うとおり、警戒だけはしっかりしておかないと。
その後、授業中も変わった様子は見られず時刻は昼休みへ。いつもと同じく倉田と食べようか・・・と思っていると、
「やあ、紅夜君。よかったらお昼一緒にどうかな?みたところお弁当のようだし・・・」
よく見てるな。確かに俺は毎日自分で弁当を作っている。それは家族がいたころから変わらない。
「・・・おう。じゃあ三人で・・・倉田も一緒でいいか?」
「え、俺も?」
ちなみに倉田に拒否権はない。
「ああ。むしろクラスメイトと話せるいい機会さ」
「あれ?俺の意見は?」
何度も言うが倉田に拒否権はない。
「決まりだな」
そういって一つの机を三人で囲んで座る。
「じゃあ、まず軽く自己紹介していいかな」
俺も倉田も頷く。
「名前はさっき言った通り、星河伊織。ミカエルの小隊長ってことも話したよね・・・。趣味とかは音楽聞いたり・・・」
そういって有名なアーティストの曲を何曲かあげる。
「・・・じゃあ、僕はこんなところかな。二人も自己紹介してくれると助かる」
簡単な自己紹介を済ませた後、伊織がこんなことを言い出す。
「紅夜君」
「・・・うん?」
「君の家族を殺した吸血鬼は僕が仕留める。この町の治安は僕が守る。だから、安心して生活してくれよ」
「お、おう・・・。」
伊織に殺されちゃ困るんだけどな・・・。、
放課後、帰りの準備をして外に出ると廊下に成実と彩斗がいて、俺を見つけて駆け寄ってくる。
「紅夜。いくつか話したいことがあるの。」
三人で学校から直接ブランに向かう。地下への階段を下りてロビーの一番右端の席に座る。
「で?何かあったのか?」
「うん。まず昨日のこと。うちのチームの熊隊がミカエルの第六小隊に殺されたの」
第六小隊・・・って、まさか、伊織の?
「その顔だとわかってるみたいね。そう。やったのは星河伊織の小隊」
「だから、これからしばらくは派手に行動できないの」
「それと重なってもう一つ。困ったことがあってね・・・」
彩斗がため息をつきながら話し出す。
「この町に第三世代レッドヴァンパイアのビスケのファミリーが近づいているという情報が入った。既に何人か眷属も目撃されている」
「ビスケ・・・どんなやつなんだ?」
「ビスケの血喰タイプは機関銃。血喰を撃ち出すことのできるタイプだ。追加能力は・・・」
「ちょい待った。追加効果ってなんだ?」
そういうと彩斗は驚いた顔をして、
「成実。教えてないのか?」
「あはは・・・ついうっかり・・・。」
彩斗はため息をついて、
「追加能力っていうのはね、血喰とは別の特殊な能力のことなんだ。例えば僕なら視力。普通の吸血鬼も人間に比べたら何倍も見えるんだけど、僕はさらにその100倍は見える」
「私の追加能力は瞬間思考加速。一定時間だけ思考加速・・・つまり頭の回転をすごく早くできるの」
「それって・・・俺にもあるのか?」
「吸血鬼になら全員あるよ。ただ目覚めるタイミングは人次第だけどね」
「だから紅夜もいつかは目覚める。心配しなくていいよ。・・・とにかく、この時期はいろんなことに気をつけなきゃいけないの。わかった?」
「おう。わかった。」