表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/54

VS捜査官!編3

 俺は成実なみの部屋に戻る。・・・成実はおらず、代わりに書置きが。どうやら少ししたら戻ってくるようなので、俺はベッドに座ってこれからのことを考えだす。



 ガチャ、とドアの開く音がして成実が帰ってくる。時計を見ると一時間以上考え込んでいたようだ。成実は右手にバスケットを抱えて、

「朝ごはんもらってきたよ?食べるでしょ?」

「ああ・・・。後、話したいことがある」

 成実は少し首をかしげながら俺の隣に座る。成実が持ってきたバスケットの布をめくる。中にはサンドイッチが五つほど入っていた。お互いに一つ目を取って話を切りだす。

「俺さ、やっぱ自分の家に戻ろうと思うんだ」

「ここの施設に住まないで?」

「うん・・・やっぱさ、その方が住みやすいし。何より俺ホームシックだから」

 成実には悪いけど嘘をついた。本当の理由は家族がいたことを忘れないため。何があっても復讐の気持ちをなくさないため。

「・・・そう、うん。紅夜こうやが決めたんだったらいいと思うよ」

「おう、一晩だけだけどありがとうな」

「え?・・・あーうん。どういたしまして」

 なんか変なこといったかな・・・。



 食事を済ませ、俺は再びボスのもとへ向かった。

 自分の家で暮らしたいという旨を話すと、

「わかった。だが今のお前さんじゃあ外には出れない。夜になるまではここにいろよ?」

 と、快く承諾してくれた。夜までどうしようかと思っていると、成実が、

「じゃあここの一通りの案内をしてあげるよ。これからもちょくちょく来ることになるだろうしね」

と言ってくれたので案内をしてもらうことにした。


「じゃあまずはここ。地下四階を大きく占める大ホール」

 大きな両開きの扉の先には広いスペース。奥にはステージがある。

「ここでイベントなんかをやるんだよ」

 イベント・・・か。あんまり参加したことないんだよなあ。


「次にここ。避難通路ね」

 避難通路は各階の端にあって、地下の大空洞に続いているらしい。

「どんな時に避難するんだ?」

「うーん・・・私もまだ使ったことはないんだよね。よっぽどのことが無いと使わないと思うよ」

 まあ、保険みたいなものだろう・・・。


「後はロビーぐらいかな。他は見取り図見ながら覚えていけばいいし」

 ロビーは地下二階にあって、人が集まる場所でもある・・・らしい。

「あ、彩斗あやと君がいるよ」

 そういって彩斗のもとへ行く成実。

「彩斗君。この前が紅夜が世話になったみたいで」

「母親か、お前は・・・。と、先日はどうもありがとうございました」

「やあ、成実に紅夜君。それから敬語はいらないよ。同い年だから呼び捨てでいこう、紅夜」

「そうか?わかりまし・・・わかった。彩斗」

「お二人さん仲いいねー」

「その煽りを男二人にやる意味あるのかよ・・・」

「あはは・・・」



 一通りの案内が終わって時刻は午後の六時。日が沈んだので俺はまたボスの部屋へ向かう。

 ノックをして部屋に入り、例の件を話す。

「来たか。帰るのだろう?」

「・・・はい」

「ここは出入り自由だからな。入るときは上のマスターにこれを見せろ」

 そういって俺の手を取り、手をかざす。チクッと痛みが走り、手の甲に文様のようなものが描かれる。

「これは・・・?」

「うちのファミリーの証みたいなものだ。じゃあ、気をつけろよ」

「はい」

 そういって部屋を出ようとするが、成実に、

「ちょっと部屋の外で待ってて」

と言われてしまったので廊下の壁にもたれて少し待つ。

 しばらくして出てきた成実。

「何してたんだ?」

「まあ、ちょっとね。あ、出口で待っててくれる?」

「まあ・・・いいけど」



 ・・・遅い。すでに三十分は経過している。いったい何をしているんだろう。

 さらに五分ほど経って、ようやく成実が現れる。

「いやーお待たせー」

「・・・というかなぜついてくる」

「帰り道わかるの?」

「まあ・・・覚えてないけど・・・」

「でしょ?ついてきてついてきて」

 成実の先導で自宅に帰る。・・・なにかおかしい気がする。



 数分経って家の前につく。

「道案内ありがとな。もう帰っていいよ」

「うん?帰らないけど?」

 ・・・は?

「いやさ、ボスから直々に頼まれちゃって。面倒見てやってくれってさ」

 聞いてないぞ・・・。

「あ、聞いてないって顔してる。だって言ってないし」

「まあまあ。ボスの指示だから、ね?」

「さっきの会話はそれか・・・」

「正解~。さあさっさと入ろう」

 一応俺の家だぞ・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ