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VS捜査官!編2

 目を覚ますと、自分の体を包む暖かい温もり。眠気に耐えられず寝てしまった俺に成実なみが布団をかけてくれたのだろう・・・。ん、なんか右腕に感触が。

 そう思って布団をめくり自分の右腕を見る。そこには俺の腕に抱きつくようにして寝ている成実の姿が。・・・ホントにここで寝たのかよ。とりあえず腕を抜いて・・・ぬ、抜けない。

 いや、正確には抜けるのだが、抜こうとするとどうしても二つの塊に触れることになってしまう。それは寝起きの男子高校生にとってはかなりまずい状況に陥ることを紅夜こうやは知っていた。

 どうにかできないものかと考えるが、ちょっと動かしただけでも触れそうになってしまうため、どうにも動かせない。

 あきらめて二度寝することを選び、再び眠りにつこうとしたところであることに気づく。

 今日、普通に平日じゃね・・・?

 普通の高校生である俺にとって高校というのは当然行かなければならない。そして今日は平日のため、当然朝から学校もある。

 そう思って時計を見ると、時刻は朝の八時十分。いつもならすでについている時間だ。

 これはもう遅刻か・・・。そう思いはするものの、まだ間に合うんじゃないかという可能性がかすかに頭をよぎる。

 そうだ、今の俺は吸血鬼なんだぞ?身体能力が上がっている・・・。つまり!何倍ものスピードで走れるってことだ!これは間に合うんじゃないか?

 その考えに至った俺はもう片方の手で成実の肩をたたいて起こそうとする。

「成実!起きてくれ!」

「うーん・・・あと五年・・・」

「そんなに寝てどうするつもりだ!」

「ん~?どうしたの」

「どうしたもこうしたも今日は平日だろ?学校だよ!」

「あ~どうせ紅夜はしばらく外には出れないから」

 は?俺が外に出れない?

「吸血鬼になりたてなんだから三日くらいは日中外に出ちゃだめだよ。さもないと死ぬぞ~」

 謎のジェスチャーをする成実。まじかよ・・・。いや、というか、

「で?学校はどうなるんだ?」

「心配しなくてもすでに保護者はここのボスに代わっているし、すでに連絡も済ませてあるよ。家族が殺されたショックでしばらく籠ってます・・・ってね」

 ・・・まあ、そういうことなら。っていやいや。ボス?誰だそいつ。

「なあ、そのボスっていうのによ、会えないか?仮にも親代わりなんだし・・・」

 成実は少し考えるような動作をした後、

「いいんじゃない?見取り図あげるから行ってらっしゃい」

 って、俺一人で行くのかよ・・・。



 部屋を出て数分、やっとこさボスというのがいる部屋にたどり着く。ここの構造はまるで迷路で、同じつくりの並びやあからさまに迷わせる仕掛けであふれている。軍事基地かよここ・・・。

 ドアを三回ノックすると、中から「入れ」と声が。その先には赤い内装に包まれた室内があった。

 テーブルを挟んでソファが二つ。その奥には大量の書類が詰まれたデスク。さらにその奥で椅子に座っている大柄な男性が一人。

「・・・来ると思っていたぞ、暁紅夜」

 その男性は暗めの赤い短髪、見るからに筋骨隆々な体型に、キセルを加えて腕を組んでいた。

「あなたが・・・ボスですか」

「ああ。ルビーの総督だ。名は天龍崎てんりゅうざき虎徹こてつ。・・・聞きたいことがあるんだろう?」

「・・・はい」

「いいだろう。答えよう」

「・・・まず、僕はどうなったことになっているんですか?」

「吸血鬼により家族を殺害され、表向きは孤児院の俺のもとにいることになっている」

「家は?」

「もう住める状態にはなっている。・・・戻りたいなら家で生活することも出来る」

「・・・蒼夜は?」

「依然、行方不明だ」

「そうですか・・・。わかりました。ありがとうございました」

「あ、二週間後の歓迎会には出席しろよ?」

「・・・歓迎会?」

「おうよ!ファミリーが一人増えるんだ。派手にやるぜ?」

 この人めっちゃファンキーだな・・・。

「あ、はい。わかりました」

「家に住むなら早めに言ってくれよ。いろいろと決めることもあるからな」

「・・・はい。失礼しました」

 そういって部屋の外に出る。

 ・・・考えないと、これからのこと。

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