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VS捜査官!編1

 ここはどこだ・・・。何も見えない。何も感じられない。

「こっちへ来て?」

 後ろから声がしたので振り返る。そこにはあの時の吸血鬼(ヴァンパイア)。エクレがこちらへ手を差し出していた。

 俺は手を振り払い、後ずさりするが、体が震えて動かない。すると、エクレは悲しそうな表情をして消えていって・・・。

 ・・・?目を開けると暗い部屋に寝かされていて毛布が掛けられていた。俺、何してたんだっけ。

 そうだ。あのクローンを拳銃で打ち抜いてから・・・。と思い返そうとしたが、あることに気づく。隣から寝息が聞こえているのだ。だ、誰だ・・。そう思い恐る恐る毛布をめくると、そこには成実(なみ)の寝顔が。

 ああなんだ、成実か・・・。って!いやいやいや!いくらなんでもまずいだろ。高校生二人が同じベッドで寝るとか、青少年なんたら法でダメだろ!

 その時、成実が目を開ける。どうやら無意識のうちに足をバタバタさせてしまっていたようで、起こしてしまったらしい。

「ん・・・あ、おはよ~」

「お、おう。おはよう・・・じゃなくて!」

「うん?」

「なんで同じベッドで寝てるんだ!・・・じゃなくて、そもそも何があったんだ!」

 俺は成実の肩を揺すりながら質問を重ねる。

「ん~?倒れたキミを私が運んできて~、ベッドに寝かせてあげたんだよ~」

 寝ぼけ眼のまま説明を続ける成実。なんというか、若干ふにゃふにゃしている。

「じゃあなんで成実までこのベッドにいるんだよ」

「それは~紅夜が私の手を離さなかったから、仕方なく~」

「え、そ、そうか・・・。悪かったな」

 まじかよ。恥ずかし過ぎるだろそれ。

「ん~?私的には全然OKだよ~。もちろん、その先も・・・」

「いやそういうのいいから!」

 そこで初めて自分と成実が血だらけのままなことに気づく。

「あ~だって離してくれないからそのままなんだよ」

「・・・いま何時だ?」

 そう思って部屋にかかっている時計を見ると午前四時。そろそろ朝チュンが聞こえてくる時間帯だ。

「しょうがない。今から入るか・・・っていうかここどこだよ」

 考えてみれば俺の家にこんなベッドはない。ついでに言えばあんな時計もない。

「ルビーの私の部屋だよ~シャワーなら私も行く~」

「じゃあ案内・・・頼む」

 部屋を出て、一分と掛からずそれらしき部屋の前に出る。

「一緒に入る?」

「結構です!」

「つれないな~」

 いやつれないとかそういう問題ではなくてですね。という俺の言葉を聞かずにとっとと女子用の脱衣所に入っていく成実。・・・俺も浴びよう。

 シャワーを浴びながらさっきあったことを考える。自分が吸血鬼になったことや、クローン達を大量に殺したこと。家族を殺されたことや成実のこと・・・。俺は絶対にアンタを殺す。生きて、蒼夜を取り戻して、アンタ・・・エクレを絶対に殺す!

 シャワーを止め、個室を出たところで気づく。あれ、俺着替え持ってきたっけ・・・?

 更衣室に入ったところでそれは確信へ変わり、俺はタオル一枚のまま必死に考える。と、その時誰かがドアを開けて入ってくる。

「あれ?こんな時間に利用者?」

 美しい金髪に幼さの残した少年のような顔。華奢な体躯だが身長は高く、整った見た目の人が現れる。

「あー、あのー、えっと」

「あ、君もしかしてさっき帰ってきたっていう(あかつき)紅夜(こうや)君?」

 よかった!俺のことを知っていたのか!

「あ、はい。そうです!」

「ふうん、君が・・・。あ、僕は鳥羽(とば)彩斗(あやと)って言うんだ。それで、どうかしたのかい?」

「あ、えっと、実は・・・」



「これで大丈夫かい?」

「はい!ありがとうございます」

 あの後、着替えが無いことを話すと、鳥羽は快く服を貸してくれた。

「いやーほんと助かりました」

 その時、ノックの音がして、

「おーい。紅夜?おいてくよ?」

「あ、じゃあこの辺で・・・」

「うん。あ、最近凄腕の捜査官が出たらしいから気を付けてね?」

「はい!ありがとうございました」

 ドアを開けると、

「あれ?そういえば服用意したっけ?」

「ん?ああ、鳥羽って言う人に借りたよ」

「へー。さすが鳥羽君」

 そのまま部屋に戻り、布団に入って・・・、

「って!なんでまた一緒に寝るんだよ!」

「えー。まあまあ気にせずに」

「気にしないわけな・・い・・・だ・・・」

 しかし、襲ってくる眠気には勝てないのであった。


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