プロローグ
暑い・・・。日光はいつになっても慣れない。そのうち慣れる、なんて本当かよ。
時刻は朝の8時過ぎ。絶賛登校中の俺、暁紅夜は降り注ぐ日差しに頭を抱えながら学校へ歩いていた。
吸血鬼の存在が明らかになってから7年。世間は相当ざわつき、当時は被害者も絶えなかったらしいが・・・人間の適応力と対策は凄まじいものだ。たった一年で被害は激減。
対吸血鬼用に構成された戦闘部隊、ミカエルの使う武器である銀器によって吸血鬼はその大多数を殺された。
まあ、未だに生き残ってる吸血鬼も大勢いることも事実。ほら、あそこの青年もそうだ。
吸血鬼には弱点も多い。日光を浴びている時は本来の力が出せないし、ニンニクも食べられん。
見分ける方法としては鏡等の反射出来るものが必要だ。吸血鬼は長時間鏡に写ると段々鏡に写らなくなってくる。
実際俺も太陽嫌いだ。それに前日の夜更かしもたたってとんでもなく体調が悪い。
吸血鬼の俺にはこの生活はきついが、目的の為だ。
俺は元々人間だった。しかし、先週の出来事のせいで吸血鬼にされてしまった。
あの日・・・俺は家でテレ
「おっはよー紅夜!」
・・・こいつは吸血鬼になった俺の世話役。霧雨成実。もちろん吸血鬼。
「・・・おう。おはよ」
「元気ないぞ~。夜更かししたな?」
「夜更かししてなくても日光が悪い」
「夜更かしは認めんのね」
「夜更かしは認める」
青になった信号を見て一緒に横断歩道を渡る。成実と登校するのは初めてじゃない。吸血鬼になってから毎日だ。
「どうだい?この生活には慣れたかい?」
「慣れるわけねーだろ。まだ1ヶ月もたってねーぞ」
「まあ、君もそのうち慣れるさ。このエリート吸血鬼である成実様がついてるんだから!」
「はいはい、エリート(笑)吸血鬼様」
成実は不機嫌そうに頬を膨らませ、プイと横を向く。
正直同い年には見えない。どう見ても中学生だろう。低めの身長に凹凸なんて微塵も感じられない体型。童顔とも相まって完全に中学生である。
「あ、私でエッチなこと考えてたでしょ?」
「考えられる様な体型になってから言え」
「私はちゃんと高校生です!JKだよJK!」
「中身も見た目も伴ってねえよ・・・」
再び頬を膨らませる成実。
・・・さらに頭痛くなってきた。