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断ち切れぬ絆

刀を村人に向かい突き出す、しかし、刀は寸前で止まる顔を上げると其処には化生が、人を守るとのたまった化生がその刃を握り止めている。


「この村人達の行う事が解からぬか、解からぬだろうな……これ以上語る気も無し、滅せよ」


 紫電の様な剣の刃先が鬼の喉元を貫く、霧綱を掴み、何かを言おうとしたが、血泡が溢れ……そのまま事切れた。

歓声が村の広場に響き渡る、それを聞いた霧綱は膝を突き安堵した。

 振るい落とされた村人は恐怖の余りに震えている。


「有難う、彼方達の御陰で倒す事が出来た、もう大丈夫だ」


 そう告げると、より一層歓声は強く響いた。


「数々の無礼、どうか御容赦頂きたい……」


 村長と見られる老人が深く頭を下げる、気苦労と辛酸を味わった事が有るのだろう。

その顔には数え切れない皺が刻まれていた。


「終わった事、故に、私は責めぬ、それよりも何時鬼共が戻ってくるか解からぬ。その前に村を離れた方が良策かと思うが」


 霧綱がそう言った瞬間、長の顔が曇る、何かを言おうとしているが踏ん切りがつかないのか言葉を濁している。

しかし、居た堪れない雰囲気にとうとう重い口を開いた。


「虫の良い事を言うかも知れませぬ、しかしそれは、この村を想っての事どうか御耳を拝借させて頂きたい。わし等はこの村で育ち、一生をこの村で過ごしたい、それ故に霧綱様に護って頂きたいのです……」


「それは出来ぬ」


 有無を言わさず断る霧綱へ、村長は絶望の表情を浮かべる。


「済まぬな、出来る限りの事はしてやりたいと思うが我が留まれば留まる程、都は危機に瀕する、元を断たねばならぬ」


 重苦しい空気が霧綱の周りを包む、村人達は期待していたのだ、彼がこの村の守護神になってくれると。


「爺様……この方を困らせたらなりませぬ」


 霧綱の後ろから聞き覚えの有る声が響く、振り向くと、召し物を持って来た娘が居た。


「先ずは感謝を、この度は村を救って頂いて、何と申せば良いのか……とても言葉に出来ませぬ」


 恭しく、頭を下げる娘に一匹の化生は頭を掻いた、面と向って礼を言われたのは今回が初めてなのだから仕方ない。


「いや、我こそ助かった、あの時貴方達が動いてくれなければ、私は死んでいたでしょう」


 霧綱も頭を下げる、お互いが村の為、大切な物の為に動いていなければ結果は最悪な物と成っていただろう。

それ故に霧綱は嬉しかった、人は強く、護るに値すると彼の心は確信を得ていた。

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