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~喫茶~cross~精霊~

喫茶店連続にして、第2弾。今回の店員は少々癖モノ?

カランコロン♪


「ありゃあとうござーしたー」

お客を見送ってからマスターの方を見ると、注文の品は無い。

よし、休めるぞ。

「はぁ……」

思わずため息、そりゃため息も出るさ、シフトじゃ無いのにバイトしてんでから。

「えーと……」

アタシは首にかけている懐中時計を見た。最後に見た時から、長針は一歩しか動いてない、要は一分が経過しただけか。

「ちっ……」

あ、因みに何で懐中時計かけてるかと言うと、目が悪くて腕時計が見えないし、バイト中に携帯は開けないからだ。

「……はぁ」

もう一度ため息。

ったく……こうなったのは里桜のせいだ。

急に、『ごめん! 補習で遅れそうだから少しだけ代わって!』とか言いやがって。頭悪いの分かってんだから補習の日にバイト入れるんじゃないっての。


……まぁ、困った時はお互い様だよ


……とかアイツがほざいた時は、携帯じゃなかったらひっぱたいてやったのに。(まぁ、来たら絶対にひっぱたくけど)

あのセリフは、助ける側の奴が言う台詞なんだよ。

……まぁ、ちょうど暇してたから友達に誘われて遊びに行こうかとしてたところだけど……まぁ、金使うよりは稼いだ方が良かったから……

「…………ちっ」

さっさと補習済ませて来いよ、里桜。

「……あ」

マスターのところに注文の品が置かれている。

ふぅ、もう休憩終わりか。

注文を持ってお客のところへ、

「お待たせしました。チーズケーキと、メロンソーダです」

「ありがとー」

「ありがとう」

「ごゆっくりどうぞ」

さっさと置いて戻った。

そういやあの2人、よく来てるな。確か里桜が常連特有のあだ名つけてたはずだ。

えっと、チーズケーキの人はいつもチーズケーキだから、チーズさん。メロンソーダの人は、いつも炭酸だから炭酸さん、だったっけ?(後の方言いづらいな)

とにかく…………ちっ、まだ40分はあるか。

ここって時給が良い上に徒歩で来れるから選んだけど、まさか知り合いがバイトしてるとは思わなかった。しかも、マスターの娘がここでバイトしながらアタシ達と同じ学校に通ってる同学年。どれだけ顔見知り多いんだよ。


カランコロン♪


ドアベルが鳴った。お客が来たか。

「……いらっしゃあぁせー」








カランコロン♪


「ありゃあとうござーしたー」

今出ていったことにより、店の中にお客がいなくなった。

ふむ…………残り、11分。このまま誰も来ないで時間が過ぎれば……


カランコロン♪


……来たか。

まぁいいや、時間的にこのお客で最後、あるいは出ていく前に代わりが来るし。

「いらっしゃあ……」

……おや?

「あ、西金だ」

「いきなり名前呼ばれ……て、なんだ、お前か」

まさかクラスメイトが来るとは、ここは顔見知り遭遇率高いんだな。

「てか、一人で喫茶店? 何か悲しくない?」

「いきなりひでぇな!? 第一よく見ろよ、一人じゃねから」

「ん?」

よく見えなかったが、後ろにもう一人いた。

「こ、こんにちは」

「あ、中紫」

またクラスメイトだ。

ということはつまり……

「野郎2人で喫茶店? それはそれで……はっ」

思わず鼻で笑ってしまう。

「おいおいそれで良いのか店の人!」

「剛、あまり騒ぐと他のお客さんに迷惑だよ?」

「大丈夫だよ中紫、ご覧の通り他に今お客いないし」

手を拡げて後ろを指す。ついさっき出ていったからね。

「ま、騒がしいのは良く無いけど、とりあえず……」

一応、お客だし。

「いらっしゃあぁせー」

挨拶はしておこう。


2人はカウンターに通した。この方が楽だし、何より、

「…………後、6分か」

それで終わりだ。

勝手知ったるクラスメイトだし、途中で抜けたって文句は言われないでしょ。

とりあえず注文取って通したし、出来るまで軽くダベろうかな。

と思って2人の方を見ると……

「?」

あれ? 西金いないや。トイレかな?

まぁ、それはいいや。気になるのは、残ってる中紫の方だ。

一人カウンターに座る中紫は、何やら斜め上の方を見ていた。その先には店の棚があるけど、閉まってて中身までは見えない。まさか棚の模様に見とれてるとかないよな?

車に跳ねられて記憶喪失になってからというもの、中紫は更に変わった気がする。

たまに、ああして虚空を見てることが多くなった気がするんだよな……まぁ、元から変わってたけど。

西金とかと一緒にいるのは分かるけど、D組の黒石とかと居ると普通にそぐってたのが、今じゃ妙に見える。それぐらい、中紫は変わった。

「……」

アタシが訊いたところで答えられる訳無いか。

注文の品が出来た、アタシはなるべく気配無く近より、

「お待たせしました」

隣に来てから声を出した。

「!?」

中紫はかなり驚いた。それだけ上の空だったんだろう。

「あ、ありがとうございます」

注文の品を置く。

「てか今さらだけど、どうして野郎2人で喫茶店?」

「あ、えっと……」

ちょっと視線が泳いでるな。

そりゃ普段話さないけど、クラスメイトだよ中紫? あの時自己紹介もした。

「剛が、補習で疲れたって言うから、ちょっと駅前まで付き合ったんです」

「へぇ、それでここに入ったと」

「はい、人気だと聞いたことがあったので」

「ふぅん……」

随分と話し方まで変わったよな、中紫。

てことは、アレも忘れてるんだろうな……

「……」

「あの……大丈夫ですか?」

「え……?」

おっと、心配されてしまった。

「別に、何でもないよ」

「はぁ……」

ふむ……どうやら本当に忘れてるようだね。

まぁ、いいや、忘れたらならそれで、アタシは覚え続けるけどね。

「頑張れよ、中紫」

「え? は、はい」

ふむ、こういうきょとん顔は向こうであり得なかったしな、こっちはこっちで面白いかも。

「お、もう来てるじゃん」

あ、西金戻ってきた。

「大変だねぇ中紫も、西金に付き合ってここまでなんて」

「え?」

「補習するぐらいなら、勉強した方がいいよ、西金」

にやり顔で西金を見る。

「う、痛いところ……そ、そういうお前はどうなんだよ?」

「見て分かんないの? バイト出来るぐらいは西金より優秀だよ」

「は! そうか……けどな! 俺だって本気だしたら負けないぜ!」

「その本気とやらを補習の前に出さなきゃ」

「その本気を補習の前に出そうよ剛」

おぉ、中紫と意見が合った。

「うっ、晶にまで言われるとは……いったい何を吹き込んだ!」

「あ、時間来た。マスター、アタシもうあがりますね」

「スルーかよ!?」

「そんじゃね、中紫、また学校で」

「更にムシか!?」

「はい、また学校で」

懐中時計を持った手を振って、アタシはその場を後にした。

「おつかぁしたー」





更衣室で会った里桜に今の状況の説明と、でこぴんをしてから帰った。


喫茶店には、今日も人が集う。


なぜ雇われたのか……そこを疑いたくなりますね

しかし、知り合いのバイト先に行くと、妙な雰囲気になります。

皆さんはどうでしょうか?


それでは、

感想お待ちしています。


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