~剣~cross~材料~
第5話目、このサイトには投稿していない話どうしですが、ここにも繋がりがあるということを。
「大和先生」
「先生、呼ばれてますよ」
「ん?」
先生が振り向いた方向を見ると、2人の生徒がこちらへと歩いて来ていた。
片方は制服を見るに一年生の女子だ。もう片方も女子、確か同学年の筈だが、名前は分からない。そもそもクラスが違うから話したことがない。
「どうした? えっと……」
先生も名前を忘れているみたいだ。いいのか先生。
「一つ連絡が……先客ですか?」
名前を言われないことを気にせず、女子は俺を見た。
「おや、武川じゃないか」
あちらは俺の名前を知っていた。
「よぅ、俺の用事はもう終わったぞ」
実際は嘘だ。だが他の生徒に聞かれてはまずい話だから先に済ませてもらおう。
「そうか、では大和先生、少しお耳を拝借」
言うなり大和先生と共に俺達から離れて小声で話し始めた。あちらも聞かれてはいけない話みたいだな。
「あ、あの……」
一人が先生と話しに行ったため残った一年生が俺に話しかけてきた。
「部長とお知り合い何ですか?」
部長? あいつ部長だったのか。
「一応、同学年だ。俺は武川創矢。まぁよろしくな」
「は、はい」
女子も自身の名前を言った。珍しい名字だった。
なんというか、この学校には三文字の珍しい名字を持つ女子が多いようだな。
「それでは、その手筈でよろしいですね」
「おぅ、それで頼むぜ」
先生達が戻ってきた。
「ではな、武川。七ヶ橋女子にもよろしく言っておいてくれ」
女子は手を軽く上げて去って行った。一年生もぺこりと頭を下げてから後に続いた。
てか、なぜあいつはそれを知っている。
「なるほどなー、やっぱ材料部にも顔出さないといけないか」
材料部?
「なんですかそれ?」
「文化系部活の一つだ。さっきのが部長でな、俺掛け持ちで顧問やってんだよ」
どんな部活なんだよそれ。まぁ人のこと言えない部に入部してるけど。
「という訳で、俺は材料部を見てくるから三夜子達に遅れるって伝えといてくれ」
「はい」
大和先生を見送ってから、ふと考えた。
材料部なんて聞いただけじゃ内容が分からん部活、この学校には、まだありそうな気がするな。