表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/16

ひな祭り大作戦~side瑠音

3月3日、この日に起こる。3人の少女を中心にした物語。

これは、その1ページ。

「……はふぅ」

今日の授業が終わった。

さてと、早く家に帰ってお手伝いしなくちゃ。

鞄を持って廊下に出る。

昇降口へ向かっていると、

「る〜おんちゃ〜ん!」

里桜ちゃん走って来た。

「どうしたの?」

「あのね、瑠音ちゃんの家でひなま…むぐ!」

言い切る前に現れた玲亜ちゃんが里桜の口を手で塞いだ。

「れ、玲亜ちゃん?」

「ごめん瑠音、なんでもないから」

「う、うん……?」

「むぐぐー!」

そのまま里桜ちゃんは玲亜ちゃんに引きずられて行ってしまった。

「?」

何だったんだろう?




早く帰ってお店の手伝いしないと、私は足早に帰路についていた。

その時、携帯の着信音が鳴った。

「?」

いったい誰だろう? ディスプレイを見てみると、

「お母さん?」

確か今仕事中のはず。

「もしもし?」

『あ、瑠音?』

「どうしたの?」

『ちょっとね、今日何の日だか分かる?』

「今日?」

今日は……3月3日。

「ひな祭り?」

『そうそう、だからさ、ちょっと帰って来るのを遅らせて』

「え?」

帰って来るのを遅らせて?

「な、何で?」

『何でも、そうだね……』

お母さんは近くにいる誰かと何やら話して、

『6時ちょうど、その頃に帰って来てくれる?』

「え? えぇ?」

『それじゃ、よろしくね』

「えっ! ちょっとお母さん!?」

通話が切れてしまった。

「……」

いったい何があるんだろう?

でも、6時ちょうどか……携帯の時計を見る。

……3時を少し回ったところ。

後3時間、どうしようかな……




とりあえず商店街へ来てみました。

3時間、何をして過ごそうかな。等と考えながら歩いていると、

「あれ?」

前に里桜ちゃんを見つけた。

そういえば、さっき里桜ちゃん何か言おうとしていたような……玲亜ちゃんに引きずられて行っちゃったけど。

もう一回聞いてみようかな?

「り、りおちゃ〜ん」

名前を呼びながら駆け寄る。

「お?」

里桜ちゃんは振り向いて止まってくれた。

「どうしたの?」

「り、りおちゃんさっき、何か言おうとしてなかった? 玲亜ちゃんが連れて行っちゃったけど」

「あ〜、それは……」

「それは?」

「え、えっと……」

? 何だか口ごもってるけど……

「きょ、今日のバイトをさ」

「え? 今日は私と玲亜ちゃんの日で、里桜ちゃんは休みじゃなかった?」

「あ」

しまった。みたいな顔に里桜ちゃんはなった。

いったいどうしたんだろう?

「そうじゃなくて……」

「そうじゃなくて?」

「あぅ……」

「?」

「あ! アレ何だろう!」

里桜ちゃんが私の後ろを指差した。

「え?」

それに振り返る、特に変わったところは無いけど……

「何を見たの? 里桜ちゃ…」

前を見ると、

「あれ?」

里桜ちゃんの姿が無かった。

「?」

どこに行ったんだろう?




里桜ちゃんは見当たらず、私は一人時間をつぶしていた。

後1時間くらい、でもこの辺りは回ったし、後はどうしようかな……

「……」

でも、お母さんも、玲亜ちゃんも、里桜ちゃんも、急にどうしたんだろう?

まるで、私に何か隠し事してるみたい……

「はふぅ……」

思わずため息が出る。

みんな、どうしたんだろう……

その時、

「どうかしたの?」

声をかけられた。

声に顔を上げると、前に女の人が立っていた。

「何だか悲しそうだったけど、何かあったの?」

「い、いえ、あの、その」

わたわたと手を振って否定する。

「良かったら、私に話してみない?」

けど女の人は私を心配してくれているようだ。

「は……はいぃ」

私は頷いてしまった。

近くにある公園へ行き、私達は並んで座った。

「それで? いったいどうしたの?」

「あの……」

私はみんなの事を話した。

「なるほど……妙に避けられてるように感じる、か」

「……本当なら、今日バイトの日だったのに、急に帰りを遅らせろって」

「へぇ……」

女の人は何かを考えるように顎に手を当てて少しすると、

「ふふ、なるほどね」

くすくすと笑い出した。

「え? えぇ?」

訳が分からずパニックになる。

「6時には帰るように言われてるんでしょ?」

「は、はい」

「じゃあ大丈夫だよ、6時にいつも通りに帰れば、全部分かる筈だから」

「は、はい、ありがとうございます」

ぺこりと頭を下げる。

「気にしないで、何だか、放っておけなかったから」

「放って?」

「私ね、人を探しているんだけど、どことなく似ている気がしてね」

そう言って女の人は立ち上がり、私にある物を見せた。

それは、十字架のペンダント。飾り気は無く、十字架と鎖だけのペンダントだ。

「……」

「……違うか」

「へ?」

「ごめん、気にしないで」

女の人はペンダントを閉まった。

「それじゃあね、ちゃんと6時には帰るんだよ」

女の人は立ち上がり、行ってしまう。

「あ、あの!」

私は慌てて立ち上がり、女の人を呼び止めた。

「わ、私の家、この辺りで喫茶店を開いてるんです。い、いろんな人が集まるから、もしかしたら探してる人が居るかも……」

「……」

女の人はきょとんとした。でもすぐに笑い、

「ありがとう。今度、行かせてもらうね」

手を振って、

「お友達の事、信じてあげてね」

公園を出ていった。

私もそれに振り返し……

「あ……」

名前、聞いてなかった…………でも、きっとまた会える筈だよね。

「……そろそろ、6時かな」

私は帰路へと着いた。




いったい、みんなは何を考えているんだろう?

扉の前で、6時にちょうどになるまで待ってみる。

あれ? プレートがCLOSEをこちらに向けてる。まだ閉める時間じゃないと思うんだけど……

時計が6時ちょうどを示した。

私はおそるおそる、扉を開けた。




パン! パンパン!



「はひぃ!?」

いきなりの音に驚いた。

けど、前を見ると……


「「誕生日おめでとう!」」


「え……? あ……」

あぁ、そうだった……

私、今日誕生日だったんだ。

「ほら瑠音、ぼさっと突っ立ってないで入りなよ」

「はい瑠音ちゃん!」

里桜ちゃんにラッピングされた袋を渡される。

「誕生日おめでと〜!」

「ちょっ、里桜、渡すタイミング早いって」

「……」

里桜ちゃんから渡されたプレゼント。

奥にいる玲亜ちゃん。その隣にはケーキがあって……

「うっ……」

思わず私は涙を流していた。

「瑠音ちゃん!?」

「瑠音?」

「あ、ありがとう……玲亜ちゃん、里桜ちゃん」

私は2人にお礼を言った。

「うん!」

「うん、どういたしまして」





私はあの人の言葉を思い出した。

『お友達の事、信じてあげてね』

そう、2人は私にとって大事な友達だ。

疑うなんて、絶対に出来ないよ。

だって、こんなにも優しい友達なんだから。


この物語は、3人の少女が主役。

これはその1ページ。他のページも、どうかご覧下さい。


もしくは全てを見たアナタ、

感想、お待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ