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~喫茶~cross~迷路~

喫茶店第3弾。今回は迷い路話と繋がるお話

カランコロン♪


「いい、いらっしゃいませー」

お客様だ。えっと……

「なな、何名様ですか?」

「2人です」

「き、喫煙席と禁煙席がござ……」

「禁煙席でお願いします」

「は、はい!」



「はふぅ〜……」

やっと休めたよぅ。やっぱりお昼時は込むんだな。

それに、今はランチタイムサービスとして軽食を頼んだお客さんにはコーヒーのサービスがあって、たまにどっちだっけってなるから……はふぅ。

やっぱり大変だな……でも、お母さんとお父さんのお店。私も手伝いたいんだもん。

「よぉし、がんばるぞぅ」

注文の品が出来た。お盆に乗せて持っていく。

「お、お待たせしました。クラブサンドになります」

「ありがとう」

「ご、ごゆっくりどうぞ」

よし、出来た。

今の人は常連さんだから渡しやすかった。

確か、サンドさん? だったかな?

常連さんにはあだ名があって覚えやすいから、あまり緊張せずにいられるんだけど……初めて来た人とか……言い方は悪いかもだけど、ちょっと変わった人とかはすっごい緊張するんだよな……はふぅ。

玲亜ちゃんはすごいよな、誰にでも変わらず接客して……

こんな願いはいけないかもだけど……今日は普通の人だけが来ますように。



カランコロン♪



お客様だ。


「い、いらっしゃいませー」

「すみませ〜ん、知り合いが来てませんか〜?」

……願いは叶いませんでした。

すっごい変わった女の子、多分私より一つか二つぐらい年下で、妙な格好をしている。

縦線と横線で出来たの模様、チェックとは少し違う、例えるなら……迷路? そんな柄の服と帽子の女の子だった。

「え、えぇと……」

この子の知り合いっぽい人は……お店の中を見回しても見当たらない。向こうから呼んでいる気配も無い、つまり……

「い、いらっしゃらないようですが……」

「ありゃ、私の方が早かったのか、じゃあ待たせてもらえますか?」

「は、はい!」

えぇと、まずは……

「お、お客様は何名様ですか?」

「へ? 私一人だけど?」

「あ……」

そりゃそうだよ! 女の子は知り合いが来るのを待ってるんだから!

あぁー私のバカバカ! て、今はそんな場合じゃないでしょ! 次は確か……

「き、喫煙席と禁煙席がございますが」

「あはは♪私未成年だよ♪」

「あ……」

あーまたやっちゃったよぅ、私より年下っぽいから未成年に決まってるのにぃ……

「あ、でもちょうど空いてるっぽいからカウンターに行っていいですか?」

「は、はいぃ、こちらへどうぞ……」




「はふぅ……」

さっきから失敗ばっかり。せっかく頑張ろうと思い始めた時なのに……

あ……あの子の注文した物が出来た。持ってかなくちゃ。

お盆に乗せて、女の子の所へ、

「お、お待たせしました」

「ありがとー♪」

ちゃんと置いて、えっと……

「ご、ごゆっくりどうぞ」

よし、言えた。

「あ、ちょっと待って」

「はひぃ!?」

呼び止められた!?

「今大丈夫っぽいし、ちょっとお話ししない?」

「お、お話しですか?」

確かに今はオーダーも無いけど……

「そ♪ダメ、かな……?」

上目遣い、カウンターの少し高い位置の椅子に座ってるからちょっと無理やりにして訊いてきた。

か、かわいい……

「は、はいぃ……」

「やった♪」

あれ? 今私、何を?

「良いお店だね♪ココ」

「え? あ、ありがとうございます……」

「お客さんも何だか面白い感じの人が多いし♪」

お客様が? そ、それは何て返せば……

「何より!」

急に女の子に指さされた。

「は、はひぃ!?」

「お姉さんが一番面白い!」

「わ、私がですか?」

「そうだよ! おどおどっとしたウェイトレスさんなんて初めて見たよ!」

お、おどおど……

「……」

私は肩をすくめた。

「ありゃ? どうしたのお姉さん?」

「……はふぅ」

そうだよね……こんなあわあわでおどおどな私がウェイトレスなんて、お店の手伝いなんて……

「別にあわあわとは言ってないんだけど……ああお姉さん、元気出して! ほらこれ食べていいから」

女の子が渡してきたのは、自分で注文した物だ。

「いえ……大丈夫ですから……」

貰う訳にはいかない。

「あー……ねぇねぇお姉さん」

「……はい?」

尋ね返すと、女の子は私の肩を両手で掴んだ。

「その自分の欠点、治るとしたら……どうする?」

「え……?」

私の欠点が……治る?

「自分のいやーな部分。一つや二つある筈だよ♪何故なら人間何だもの♪」

あなたも人間じゃ……

「ねぇ……私に、任せてみない? ……あは♪」

真正面にじっくりと、女の子は私を見る。

その瞳に、私はまるで吸い込まれて……




カランコロン♪




「!?」

ドアベルの音、お客様だ。

「あ! 来た来た。お〜い♪」

女の子が手を振っている。見てみると、

「おや? ワタシの方が遅かったようだな」

女の子の知り合いらしい人が立っていた。女の子と同じような変わった格好だ。

「待たせたようだね」

女の人……だよね?

「ぜんっぜん♪でもすんごいタイミングだったね。今まさにだったのに♪」

た、タイミング……?

「そうか、だがもうダメみたいだな」

だ、ダメ……?

「問題無いよ♪ここ気に入ったから、迷わすの可哀想になったし」

「ほぉ……メイコにも人を思う気持ちがあったのか」

「えー、それどういう意味ー?」

「気にするな、他者に対した一人言だ。にひひひ、」

「ぶーぶー」

「あ、あの……」

何だかおいてけぼりだ。

「おや、すまなかったな。ワタシは彼女の隣で良いぞ」

「え? は、はい……」


それからしばらく、2人は何やらお話しをして、帰っていった。

「また来るね〜♪」

この言葉通り、女の子……メイコちゃんと、(後から知った)女の人(名前は分からない)はよく来るようになった。

いつ来てもあの格好で、いつも私とお喋りして帰った。

そのおかげで、お客様と話すのも少しだけ慣れる事が出来た。



けど、3ヵ月くらいした頃かな?

2人は来なくなった。

玲亜ちゃん達に聞いたら、そんな人達見たこと無いと言われた。どうやら私がシフトの時だけ来ていたらしい。

……今、どこで何をしているのかな?



喫茶店には、今日も人が集う。


ギリギリセーフ、な話でした。

彼女たちも人と変わらず喫茶店に行くんですね。



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