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ギャルバンで昭和特撮ヲタの私が、ひいおばあちゃんになった話  作者: ひらやまけんじ
第2曲目 私が来夢で、この子も来夢?作者よ!設定もうちょい整理しろや!
7/25

第7話 残り15分!……ってカラオケの延長じゃないんだから!

 「ちょっとー!何なのよ!この音は!?怖いんだけどー!!」 私は耳を押さえながらキョロキョロする。


 警報が止むと、どこからともなく機械的な電子音声が流れた。


 『プライベートディメンションルームノタイザイジカンハ、〝ノコリ15フン〟デス!カイジョジュンビヲオネガイシマス!』


 「トト様。マズいのだ!そろそろ時間切れなのじゃ!」


 ちび来夢は手のひらサイズのタブレットを確認しながら、眉をひそめて華印を見上げた。


 「そのようだね。大体の話は出来たし、じゃあ出よっか?」


 華印は肩をすくめ、ポケットに手を突っ込みながら答える。


 「ど、どういう事なの?」


 私は状況が理解できず、両手をワタワタさせながら質問した。


 「このプライベートディメンションルームは、1時間しか使用出来ないんだ。タイムリミットを過ぎると出口が消滅して、元の次元には帰れなくなる。だから、後15分以内に解除しないと」


 華印は真剣な顔で説明する。


 えっ?あと15分?


 私は周囲を見回す。ウルトラマンやライダー人形が並ぶ作戦室風の素敵空間。


 名残惜しさに胸がギュッと締めつけられる。


 「ねえ?どれでも良いから、この人形1つだけ持って帰っても良い?」


 私はヒーロー像を名残惜しそうに指差す。


 「そう言うと思った。でもダメなんだ。この部屋で実体化した物は、持ち帰ると同時に消滅しちゃう」


 華印は苦笑しながら首を振る。


  「そ、そうなの?残念だなー」


 私は肩をガクンと落とす。


 「それじゃ、解除するよ。来夢ちゃん、おねが……」


 華印が、ちび来夢に指示を出そうとした瞬間、私は慌てて手を挙げた。


 「ちょっと待った!もう少しだけ聞きたいんだけど、良い?」


 私はヒーロー像にすがるような姿勢で声を張り上げる。


 「何だい?もう時間無いんだよ?」


 華印は、私の質問に眉を寄せながら答える。


  「ベガ星人だっけ?その宇宙人のこと!もっと詳しく聞きたい!未来の人たちは、みんな宇宙人の超科学が使えるの?」


 本物の宇宙人に興味のある私は、どうしても聞きたかった事を華印に質問した。


 「いいや、ベガ星人の技術を使えるのは、俺達、味蕾家だけだよ」


 「どうして、あんた達っていうか、未来の私達の一家だけなの?」


  華印は、腕組みをして少し考えていたが、やがて話し始める。


 「……時間が無いから、ザックリと話すけど、俺は独身時代ソロキャンプが趣味だったんだ。あれは、来夢ちゃんが産まれる3年くらい前。ほとんど人が来ない穴場スポットでキャンプしてた日の夜中、俺のテントの隣にベガ星人の宇宙船が墜落してきたんだよ。俺は、傷ついたベガ星人を世間で騒がれないように匿って看病した。そのお礼にタイムカプセルや、プライベートディメンションルーム〝など〟を発動させる機械をもらったんだ。はい!おしまい~♪」


 「おしまい~♪じゃねーよ!いくらこの作品が、SFコメディーだからって、ザックリとし過ぎだろ!作品的に大事な所っぽいから、もう少し掘り下げなさいよ!」


 「メタ……」


 「待った!どうせ『メタいのぅ。ひいおばあ様』って言うんでしょ!あんたの台詞は、お見通しなんだからね!ドヤ!」


 「むー!ひいおばあ様の意地悪ー!」


 ちび来夢は、私に決め台詞を先に言われたのが悔しかったらしく、ほっぺを膨らませる。


 「そのベガ星人って、どんな姿してたの?クール星人みたいな人間離れした姿なの?」


 「クール星人って、『ウルトラセブン』の第1話に出てきた蜘蛛みたいな宇宙人でしょ?俺が遭遇したベガ星人は、イケてる中年男性の姿だったよ」


 「そうなんだ。それにしても、クール星人を知ってるなんて、なかなか通ね!流石は私の孫!」


  華印から『ウルトラセブン』の名前を聞けて嬉しくなった私は、サムズアップしながら言った。


 「お婆ちゃんに、子供の頃から昭和特撮番組を色々と見せられたからね。……仕方ないなぁ。それじゃ、もう少しだけ話すけど、ベガ星人ってのは、こと座のベガ星に住む宇宙人で、地球より遥かに優れた文明を持ってるんだ。彼らは、この時代よりも前に密かに地球を訪れていて、何回か目撃もされているらしいよ。その伝説は多分、この時代でも何らかの形で存在してるんじゃない?」


 華印の質問に、今度は私が腕組みをして考える。


 そういえば、ベガ星人って名前は、以前にもどこかで聞いた事あるような? 特撮番組じゃなくて、どこだっけ?……あっ!


  「思い出した!昔、読んだスピリチュア系の本に載ってたんだ!確か、前世で宇宙人だった人間、えーと、そうそう!〝スターピープル〟と呼ばれてる人が、ベガ星人だって書いてあった気がする!」


 「なるほど。この時代では、そういう風に伝わってるのか。でも、俺が助けたイケオジのベガ星人からは、そんな話は聞かなかったなぁ。少なくとも俺の知ってる限りでは、ベガ星と地球はそれぞれ独立した星のように思える。その証拠に、彼らの言語は、明らかに地球とは異なる物だったから、そのままじゃ会話にすらならなかった」


 特撮番組の宇宙人は、当然のように日本語で話すけど、本物は宇宙語を話すのね。なるほど!リアリティあるなー!


 「それじゃあ、どうやってコミュニケーションを取ってたの?」


 「ベガ星人は、腕時計型の翻訳機を持っていてね。幸い墜落事故でも無事だった。彼が、その機械に話しかけると、俺の頭脳に直接日本語として、言葉が伝わってくる。逆に、俺が翻訳機に話しかけると、彼にはベガ星の言語として伝わるんだ」


 腕時計型の翻訳機か!しかもテレパシーみたいに相手の言葉が、脳内に伝わってくる!?そんな素敵アイテム、特撮ヲタの琴線に触れまくりじゃないの!!


 「凄い翻訳機ね!私も使ってみたーい!今、持ってないの?」


 「いや、持ってないよ。そんなこんなで、1ヶ月くらい看病しつつの共同生活してたら、彼の奥さん、娘さん、息子さんの家族が、新しい宇宙船で迎えに来た。よくよく話を聞くと、彼はベガ星の中でも有名な科学者だったようでね。匿っていたお礼として、ベガ星の技術の一部をプレゼントしてくれて、帰っていったよ。お婆ちゃんが興味津々の翻訳機と一緒にね!」


 「なーんだ。つまんないの!」


 「今だから笑い話で済むけど、迎えが来るまでのベガ星人との生活は、色々と大変だったよ。〝うまい棒の二郎系ラーメン〟味が、彼の大好物だったんだけど『こうやって食べるのが1番美味しいよねー!』って言って、袋ごと食べるんだぜ?しかも会計前に!」


 「何か迷惑系動画配信者みたい……。袋ごと食べるってワイルド過ぎね。それよりも、うまい棒の二郎系ラーメン味!?何よ!その食欲をそそるワードの組み合わせは!!私も食べたいわよ!」


 「ああ。この時代では、二郎系ラーメン味は、まだ販売してないのか。まあ、俺が子供の頃、たまにお婆ちゃん買ってくれたから、その内食べれるよ。でも、1番困ったのは、ベガ星人のせいで、俺の髪は、髪は……」


 華印は、遠い目をして言葉を詰まらせる。


  「そっか。あんたの髪が青色なのも、ベガ星人と接触した影響だったのね?」


 未知との遭遇を果たせば、髪の色があり得ない風に変わるのも、きっとよくある事なのだろう!うん!うん!


 「いや、これ地毛だけど?墜落の際に発生した爆風に巻き込まれたせいで、俺の髪の毛は物凄いアフロヘアーになって、1ヶ月以上戻らなくて恥ずかしい日々送る事になったんだー!」


  〝ズコー!〟


 私は、華印の話を聞いて盛大にズッコケた!


 「髪の色じゃなくて髪型の話かよー!っていうか、その頭は地毛なの?もしかして、この子も?」


  私は、ちび来夢の頭を指差して、華印に聞いた。


 「えへへ!来夢の髪の毛、ピンク色で可愛いじゃろ?」


 ちび来夢は、自慢気に自分の髪をかき上げる。


 「2人とも日本人でしょ?未来の日本人って、黒髪じゃないの?」


 私は、2人の髪の色が、あまりにも日本人離れしてるので、地毛だとは信じられなかった。てっきり、染めてるかと思ってたわ!


  「俺達の時代では、遺伝子操作の技術が2025年よりも、遥かに発達してるんだ。だから、産まれる前に、その子の髪の色や体型とかをカスタマイズする事が出来る。そのため、2110年には黒髪の日本人は、ほとんどいないんだ。だから、俺たち2人の青やピンクの髪色は生まれつきってわけさ!」


 「マジで!?まるで、アバターのキャラ設定みたいじゃない?」


 「やっぱり、お婆ちゃんって結構鋭いんだね。遺伝子操作技術を受けて産み出された人間は、当初は〝アバター世代〟と呼ばれてたんだ。学校の授業で習ったけど、最初は世間から『産まれてくる赤ちゃんは、親の玩具じゃない!』と相当非難されたみたい。でも、2110年になると、当たり前の事だし、誰も気にしてないから死語になってるけどね」


 「ベガ星人がいなくても、2110年って何でもアリになってるじゃないの!」


 『タイムリミットマデ〝ノコリ5フン〟シキュウ、カイジョシテクダサイ!』


  再び無機質な電子音声が鳴り響く。


  「トト様。もう時間が無いのだ」


 ちび来夢はぷくっと頬を膨らませ、タブレットを掲げる。


 「それじゃ、元の世界に戻ろう。来夢ちゃん、室内をデフォルトに戻して」


 華印は落ち着いた声で告げた。


 「はーい!」


 ちび来夢がタブレットを操作すると、ヒーロー人形も作戦室も、砂絵のように音もなく崩れ消えていき真っ白な空間が戻ってきた。


 「ああ……!私の素敵空間がぁ!」


 私は膝をつき、両手を空に伸ばす。


 「来夢ちゃん、戻る前に自分の荷物を忘れないで!」


 華印が声をかけると、ちび来夢は「はーい」と元気に返事をし、タブレットを操作。


 すると、真っ白な空間に突然青いドアが出現した。


 「え?そのドア、どこから出てきたの?」


 私は目を丸くする。


 「ひいおばあ様、細かいことは気にしないのだ!」


 ちび来夢は胸を張って答えると、ドアを開けてキャリーケースを引っ張り出した。


 「よし、それじゃ解除先は……お婆ちゃんの家の近くにするけど、人気の無い公園ってある?」


  華印が尋ねる。


 「あ、ああ。近所に☓☓山公園ってのがあるけど?」


 私は慌てて答えた。


 「来夢ちゃん、解除先は☓☓山公園でお願い!」


 「合点承知の助!プライベートディメンションルーム解除なのだ!」


 ちび来夢が指を鳴らすと、再び光が弾け――。 私は次の瞬間、夜風の吹く☓☓山公園に立っていた。


 見慣れたブランコと錆びた鉄棒。人工的な蛍光灯の下で、つい先ほどまでの非日常が夢だったように思えた

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