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ギャルバンで昭和特撮ヲタの私が、ひいおばあちゃんになった話  作者: ひらやまけんじ
第4曲目 バンド回キター!ヤバい!ギターが無い!……え?話そこから?
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第4話 未来からの来訪者と昭和特撮ヒーローの部屋

 この娘、髪の色的に〝一人ぼっちの天才ギター少女〟のコスプレのつもりかしら? いや、年齢的に〝ピーナッツが好きなスパイ家族の子供〟の方がしっくりくる?


 ――って、そんな事考えてる場合じゃない! 何よコイツら!?てか今、男の方、私のことを〝お婆ちゃん〟って呼ばなかった!?幻聴?アルコール性幻覚?


 「おい、トト様。この人が本当に来夢の〝ひいおばあ様〟なのかい?何だか暑苦しい格好してるのう!来夢と比べて、知性も女性らしさも欠片も感じられんのじゃが?」


 え、えぇ!?指差しながら失礼な事言いやがった、このピンク頭ガキんちょ!


  いや、待て。今こいつ「来夢」って言った?私と同じ名前?


 ……ってそんな事どうでもいい! 1970~80年代ヒーローをリスペクトした、この私の赤マフラー+皮ジャンの黄金コーデをバカにするとは許さん!


 「ねえお嬢ちゃん?人様の服装をバカにすると悪い子になっちゃうぞ~?メッ!だよ。これはね、お姉ちゃんが産まれる前に活躍してたスーパーヒーローへの敬意なの!お姉ちゃんはピチピチ19歳、正義と特撮の申し子なの!」


 私は子供相手なので、教育番組のお姉さんばりの笑顔を作って説明した。内心は怒髪天だけどな!


 「アハハハ!その1970~80年代の特撮ヒーローへの情熱!俺がガキの頃から知ってたお婆ちゃんそのものだよ!」


 な、何で今の一言で私の趣味を言い当てられる!?怖い!怖いって!!これ以上関わったら命がいくつあっても足りない気がする!


 「キャハハ!お婆ちゃんって誰の事?ここには19歳のピチピチバンド少女しかいませんが?あ、そろそろ昭和ライダーの最終回を一気見する日課があるんで帰ります!さよバイ!」


 バカキャラを全力で演じて、その場を立ち去ろうとした――が、腕をガシッと掴まれた!


 「嘘つくな!お婆ちゃん逃げるな!話を聞いて!」


 見た目チャラ男のくせに、握力ゴリラ級!離せん!


 やばいやばいやばい!私、殺される?犯される?それともゴルゴダ星(※1)に磔にされる!? コイツ、もしかしてヤプール(※2)の手先か?


 「お、お客様ー!当店はお触り禁止でーす!……じゃなくて!ウルトラマンA!助けてー!」


 「落ち着けって!俺ら怪しいもんじゃないから!」


 「怪しさメガ盛りマシマシ!怒らせたらライダー拳が火を吹くよ!?それでもいいの!?」


 「なあトト様、このままじゃ混乱が深まるだけじゃ。〝アレ〟を使った方が良くないかなのだ?」


 「確かに。よし、来夢ちゃん、頼む」


 「アレって何よ!?!?っていうかお婆ちゃんじゃないから!」


 「合点承知の助!」


 ピンク髪のちび来夢(ややこしい!)が、スマホより一回り小さいタブレットみたいな謎デバイスを取り出し操作を始める。


 「プライベートディメンションルームヲハツドウシマス。メンバーハ3メイサマデヨロシイデスカ?」


 ミニタブレット(?)から、SF映画に出てくるAIみたいな電子音声が聞こえてきた。


 「うむ、OKじゃ!」


 「ラジャー!」


 ――目の前が真っ白になった!


 「ぎゃー!何事!?死ぬ!?異世界転生!?」


 「ひいおばあ様、目を開けても大丈夫じゃよ」


 ちび来夢の声で恐る恐る目を開けると……真っ白な無限空間。腰抜かした。


 「ここどこ!?私帰れる!?ひいお婆ちゃんって言うな!私はのび太じゃないから!セワシ君かよアンタら!」


 青髪の男は落ち着いた声で言う。


 「ここは〝プライベートディメンションルーム〟。誰にも聞かれないで話すための空間。‶彼ら〟の技術だよ」


 「プリペイドカードデリバリー??彼らって誰?」


 「全然違うよ!彼らってのは、まあ後で説明するよ」


 男は、私にツッコミは入れるが、質問に答えず話を続ける。


 「ここは、初期設定だと、ご覧の通り真っ白で殺風景なんだけど、自由に背景を設定出来るんだよ。とりあえず、お婆ちゃんの心地よさそうな景色に変えてみようか?来夢ちゃん、貸して」


 「はい、トト様」


 ちび来夢からタブレット状の機械を受け取った男は、何やら操作を始める。


 「よーし、これで頼む」


 「ラジャー。ルームナイヲ〝ショウワヒーロールーム〟ニ、ヘンコウイタシマス」


 電子音声と同時に、真っ白だった背景が急に変わり始めた。


  「え、ええ?う、うおおおー!こ、これは!?」


 周囲を見た私のテンションは、先程までのパニックが嘘のように一気に上がった!


 何故ならば、特撮作品の防衛隊の作戦室みたいな室内に、等身大のウルトラマンや仮面ライダーや、ゴレンジャーなどの昭和特撮ヒーロー達の人形が所狭しと並んでいたからである!


 「凄い!1号ライダーからZX(ゼクロス)までの10人ライダーが揃ってる!やっぱ、仮面ライダーと言えば、このメンバーだよね!こっちは、ウルトラ六兄弟にレオと80(エイティ)の人形だわ!アストラやユリアンまでいるのが、〝分かってる〟じゃない!」


 「お婆ちゃん、大好きなヒーロー達を見て落ち着いた?そろそろ俺たちの話を聞いてくれる……」


 「ゴレンジャーも5人揃ってる!って、5人いないとゴレンジャーじゃないよな!アハハハ!何言ってんだ!私!あー!このアカレンジャーの人形、アイマスクに白い縁取りが無いNGバージョンの方じゃない!渋すぎるわー!あ、あれは!?ウソ!こんな物まで!?……」


 テンション上がりまくりの私の横で、2人は顔を見合わせていた。


 「トト様、これ別の意味で話にならんのでは?」


 「ぐぬぬ!想像以上の‶面倒くさい昭和特撮オタク〟だ!」


  私?もちろん聞いてない。だって!だって!


 「うわー!スペクトルマンや電人ザボーガーのピープロ系の人形まである!あっちは!?えっ!?マジで!?まさかのミラーマン等身大フィギュアまで!?ぎゃー!ジャンボーグAまであるじゃん!これ反則だってば!!」


 私は完全に昭和ヒーロー博物館と化した部屋を走り回り、テンション爆上がりでパニックダンス状態。


 「仕方ないな。来夢ちゃん。背景を‶別の落ち着くやつ〟に切り替えるてくれる?」


  「了解じゃ!トト様〝ひいおばあ様冷却プランB〟発動じゃな!」


 「ちょ、ちょっと待って!?」


 2人の会話を聞いて私が慌てて叫ぶ間にも、ちび来夢がタブレットを取り出し、画面をタップしまくる。


 「ラジャー! ハイケイセッテイ ヲ〝イナカノタタミベヤ+チャブダイ+シロクロテレビ〟ニ、ヘンコウシマス」


  直後、ヒーロー人形で埋め尽くされた空間が溶けていき、代わりに畳の匂いとちゃぶ台と、上に鎮座するアンテナ式の白黒テレビが現れた。


  「うわぁぁぁ!!やめろー!せっかくの10人ライダーがー!ウルトラ六兄弟がー!ピープロヒーローたちがー!!カムバッーク!帰ってこいー!」


 私は、ヒーロー像が消えてしまった現実を受け入れられず、ちゃぶ台を抱きしめて床をゴロゴロ転がりまわった。


 まるで駄菓子屋でラムネ買ってもらえなかった小学生と同じである。


 男は眉間にシワを寄せ、ため息をついた。


 「ダメだこりゃ。落ち着くどころか悪化してるじゃないか」


 「トト様。ひいおばあ様にとって、やはり昭和特撮は麻薬のようなもの。禁断症状が出ておるのじゃ」


 「仕方ない。また元に戻すか」


 「賢明な判断じゃな」


 ちび来夢がミニタブレットを操作する。


 「ハイケイセッテイヲ〝ショウワトクサツルーム〟ニ、フッキュウシマス」


 電子音と同時に、再び壁一面のヒーロー像と作戦室風のパネルが現れた。


 「うおおおお!帰ってきた!仮面ライダー1号ー!アオレンジャー!ウルトラ兄弟ー!愛してるぅぅ!!」


 私は両手を天に掲げ、奇声を上げながら喜びの舞を披露した。


 男はこめかみを押さえ、苦笑交じりに言う。


 「ほんっと、変わらないな。これで少しは落ち着いたか?」


 「うん。まあね。ていうか、ここから背景を動かさないでよ!もう絶対変えないで!」


 私は人形の前に正座し、やっと人間らしい声を出す。


 男とちび来夢は、顔を見合わせてホッとしたように頷く。


 「よし、ようやく話を聞いてもらえそうだ」


 「今度こそ、ひいおばあ様に説明できるな」


 「ふぅ、わかったわかった。やっと腹くくったよ。で?アンタら、一体何者なの?」


 ようやく私は、2人の話を聞く体勢になったのだった。


 「あ、そう。やっと、話を続けられそうだね。自己紹介するね。俺の名前は味蕾華印(かいん)。今から85年後、つまり2110年の未来からやってきた貴女の孫だよ。突然で悪いんだけどさ、俺の娘をしばらく預かってくんない?」


 「え?ま、孫?アンタが、私の?」


 華印と名乗った男は、見た感じ二十代半ばくらいに見える。


 私と大して歳の変わらない優男が、私の孫だって?しかも、娘を預かって欲しいって言わなかった?


 マジ、意味不明なんだけどー!!???


 「来夢は、この華印こと、トト様の娘の味蕾来夢!つまり、貴女の曾孫なのじゃ!ひいおばあ様!お世話よろしくなのだ!」


 ひ、曾孫?何それ?美味しいの?いや、食べ物じゃないだろ!?


 「ギャルバンで昭和特撮ヲタの私が、ひいおばあちゃんになったんだが!?えっ?マジでー!!??」


 次から次へと起きる訳わからん状況によって、脳内の情報処理能力が、完全にキャパオーバーしてしまった私は、訳わからん事を叫んでしまうのであった……。


 ―――味蕾来夢の前に現れた青年と幼女は、本当に未来からやってきたのだろうか? もしも、本当だとしたら、彼らはどうやって現代にやってきたのか? これは、未来からやってきたという曾孫と暮らす事になった1人のバンド少女の笑いアリ、涙アリ(ホント?)の日常生活を描くという予定の物語であったりするのである!!多分(汗)―――


 「突然出てきたナレーターが、勝手に締めるんじゃない!っていうか、いるんなら、最初から出てきて仕事しなさいよ!そうすりゃ、私も慣れない地の文を担当しないで、もっと楽が出来たのにさー!」



【次章予告】


 来夢「突然現れたチャラ男と、ちび来夢が、未来からやってきた孫と曾孫だってー!?ナニコレ?新手のオレオレ詐欺?えーと、どうやら、次章ではコイツラがタイムスリップして来た秘密が明らかになって、ドリフターズが出てきて、私の黒歴史が暴露されるって!?何それ?どんな話なのよ?何でもカオスにすりゃ、いいってもんじゃないでしょーが!……え?ちょっと待って!私の黒歴史が暴露?」



~次章、「第2曲目 私が来夢で、この子も来夢?作者よ!設定もうちょい整理しろや!」に続く!~


 来夢「ねえ!私の黒歴史って何よ?ねえってば!答えなさいよ!オイィィィー!」



 ※1『ウルトラマンA』第13話「死刑!ウルトラ5兄弟」、第14話「銀河に散った5つの星」に登場した惑星の名前。


 ※2 『ウルトラマンA』に登場した宿敵の異次元人の名前。執念深い。

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