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ギャルバンで昭和特撮ヲタの私が、ひいおばあちゃんになった話  作者: ひらやまけんじ
第4曲目 バンド回キター!ヤバい!ギターが無い!……え?話そこから?
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第25話 ギターを復元しようと思ったら、マフィアが居候し始めた件

 「それじゃ、ベガタブちゃん!〝カムバック!キュンキュンメモリアルアイテムセンター〟を発動頼むのじゃ!」


 ミラが、両手を腰に当てながらキリッとした顔でベガタブに命令する。まるで某青いネコ型ロボットの秘密道具を呼び出す時のような堂々たる態度だ。


 やった!これで、ギターが戻ってくるのね!


 「ラジャー!〝カムバック!キュンキュンメモリアルアイテムセンター〟ヲ ハツドウシマス!」


 電子音声がベガタブから響き渡り、私の部屋が一気にSF映画のワンシーンみたいな空気に包まれた。


 〝ボン!〟


 突如として、ベガタブから謎のスモークマシンでも起動したかのような白い煙が部屋中にブワァッと広がる。


 「ゲホゲホ!な、何?これ?」


 私は思わず口元を手で覆いながら後ずさる。煙が薄れていくと――そこには、想定外にもタキシード姿のスキンヘッド男が仁王立ちしていた。


 色黒で、鼻の下にはスーパーマ〇オみたいな立派な口ひげ。サングラスを掛け、黒いタキシードをビシッと着こなし、さらにジェンダーレス生春巻よりも明らかにゴツい筋肉を誇示している。


 あと、靴を履いたままなんですけど!ここ私の部屋の中なんですけどー!?


 ??……っていうか、この人誰よ?ヤクザ?マフィア?どこから入ってきたの?そんな事よりも私のギターはどこ?


 「おどれか?俺を呼んだのは?ああーん!?はよ、用件言わんかい!‶何を復元〟して欲しいんじゃ!」


 タキシード男は、ドスの効いた声で私にズイッと詰め寄る。サングラスの奥の目がギラリと光った気がした。こ、怖ぇぇぇーー!!

 

 ……あれ?復元って言ってなかった?もしかして!?


 「あ、あのー。ひ、ひょっとして、貴方様は、超科学アイテム関係の御方でしょうか?え、エヘヘへ」


 私は引きつった笑顔を浮かべながら、明らかに腰が引けた状態で尋ねた。


 「そうじゃ!最初から言っとるだろう!ボケー!俺は〝カムバック!キュンキュンメモリアルアイテムセンター〟のセンター長兼鑑定士の〝カン・テイシー〟だ!文句あんのか!」


 ド迫力の声量に、私は反射的に背筋を伸ばす。


 「ヒィィー!あ、ありません!ありません!」


 両手をブンブン振って全力で否定。まるで警察24時で取り調べを受ける一般人みたいな挙動不審っぷりだ。


 な、何でギターを復元させる超科学アイテムを発動させたら、こんなヤクザみたいな怖いオジサンが出てくるわけ?全然意味分かんないわよ!


 「わ、私のギターを復元してもらいたくて超科学アイテムを発動させて頂いたつもりなんですが、どうして貴方様のような御方が、こんな汚い部屋にいらっしゃったんでしょうか?ア、アハハハ!」


 カン・テイシーと名乗るタキシード男を怒らせないように、出来るだけ丁寧な言葉を選びながら、質問した。


 「おどれ!なめてんのか!俺は〝カムバック!キュンキュンメモリアルアイテムセンター〟のプログラムが〝擬人化〟した存在じゃい!」


 カン・テイシーは私の胸の前に人差し指を突きつけ、怒鳴りつける。……もう、何を言っても怒るタイプじゃんコイツ!


 「プログラムが擬人化した存在?それじゃ、貴方様が私のギターを復元してくれるんですか?」


 「ああ。まずは証明出来るもん見せんかい」


 「証明出来る物?」


 その言葉に、私は首を傾げる。


 「そうじゃ!おどれが復元してもらいたいちゅうギターの写真と、それが間違いなく〝おどれの物〟である証明を俺に見せろ言うとんやろが!」


 カン・テイシーはサングラス越しにギロリと睨む。


 「ライ様。ここは言う通りにした方が良いのじゃ」


 背後からミラが、私に耳打ちする。……あんたが、この超科学アイテムの使用を躊躇ってた理由が、やっと分かったわ。


 証明出来る物か……。あ!そうだ!アレがあったわ。


 私は、スマホに保存してあった写真をカン・テイシーに見せる。


 それは、ギターを買った日に嬉しくて実家の玄関前でギターを持ってる所をお姉ちゃんに撮ってもらった写真であった。


「あ、あの。これじゃ証明にならないでしょうか?」


 「……まあ、いいじゃろう。んで‶材料〟は?」


 「は?ざ、材料ですか?……それって何の?」


 「おどれ!ホンマに俺の事をなめとんの!!‶ギターを復元してもらいたきゃ材料を用意して来い〟と言っとるんじゃ!ゼロから復元してもらえるほど、世の中は甘くないんじゃーい!ボケー!」


 カン・テイシーは、まるでRPGのクエスト依頼人のように、ドヤ顔で条件を突きつけてきた。


 えー?ギターを復元してもらうのに材料を用意しなきゃいけないの!?そんな話は聞いてないわよー!


 ここまで来たら他に方法も無いので、言う通りにするしかない。それにしてもギターの材料って何を用意すりゃいいのかしら?


 「あのー、カン・テイシーさん。ギターの材料って、何でしょうか?」


 「そんな事も知らんのかい!しかたないのう!大サービスで教えてやるから、よーく聞け!復元するのに必要な材料は4種類じゃ!1つ目は〝長さ1メートルの木の枝10本〟、2つ目は〝空き缶50個〟、3つ目は〝この近所の和菓子屋「女豹屋」で1日10箱限定の「辛子明太子キムチ和え大福」〟じゃ!……最後の1つは、この3つを集めてきたら教えてやる」


 「な、何ですかそれー!?いや、どれもギターに関係ない物ばかりじゃないですか?大福に至っては食べ物だし!しかも、何で今発動したばかりの貴方様が近所の和菓子屋の限定商品を知ってるんですかー??」


 カン・テイシーのツッコミどころ満載の回答に、私は遠慮なくツッコミを入れる。


 「……いかんのか?」


 「え?」


 「ギターの材料が、木の枝や空き缶に、大福じゃいかんのか?と聞いとるんじゃい!そんなもんおどれら地球人の偏見だろうが!喧嘩売っとるんか?ワレ!」


 カン・テイシーは私の胸倉を掴んで、そう言って怒鳴ってくる。


 「いいえ!いいえ!問題ありません!だから、そんなに怒らないで!ヒィーン!!」


 「あ!そうじゃ!言い忘れておった。‶おどれのギターの復元テストが終了するまで、ここに住ませてもらう〟からのう。汚い部屋じゃが我慢してやる」


 「はあぁー?わ、私の部屋に住む?あ、貴方様が!?」


 それって、居候が増えるって事じゃない!しかも、こんな怖い人が?


 そんなの嫌ぁぁぁー!


 「おどれのテストが終わるまで、俺は擬人化システムを解除出来ないんじゃ!安心せい!今、言ったように俺は擬人化プログラムじゃから、飯は食わなくても大丈夫だから食費の心配はいらん!」


 「……わ、分かりましたよ。どうせ断ってもダメなんですよね?それじゃ、せめて靴を脱いでくれませんか?」


 「ダメじゃ!一体化してるから脱げん」


 「え、それじゃ部屋が汚れる……」


 「……拭けばええやんけ」


 「はい?」


 「汚れが気になるんなら、おどれが拭けばいいだろうが!ボケー!」


 「ええええええー!!まさかの逆ギレですかー!?」


 何なのコイツ?言ってる事が無茶苦茶じゃない!


 ああ、こんな事なら酔った勢いで、ライブハウスで喧嘩なんてするんじゃなかった!そしたら、こんな超科学アイテムにも頼らなくて良かったのに!バカバカ!私のバカー!


 「それじゃ、俺は休憩させてもらうかの」


 そう言って、カン・テイシーは部屋の冷蔵庫を勝手に開けて缶ビールを取り出し、更に台所に置いてあるポテチを取ると、居間のテレビを点けた。


 ……って、冷静に解説してる場合か!私!せっかく今夜のお楽しみに買ってきたビールとポテチに何する気よ!?


 次の瞬間、カン・テイシーは胡坐をかいて、テレビを観ながらポテチ食べて、ビールを飲み始めたのだ!


 「ち、ちょっとー!何するんですか!それ、私のビールとポテチですよ!何勝手に飲み食いしてんの?さっき、食事はしなくても大丈夫って言ってましたよねー!!」


 今夜のお楽しみに手を付けられた私は、我慢できずに少し強めの口調でカン・テイシーに文句を言った……怖いけど。


 「……口元が寂しいやんけ」


 「はぁ?」


 「ただ黙ってテレビを観てるなんて、口元が寂しいやろうがー!ビールとポテチのお供があったってええじゃないか!あれか?擬人化システムは、ビールやポテチを飲み食いしちゃいけないなんて誰が決めたんじゃい!無駄口叩いてないで、さっさと材料を探しに行かんかーい!」


 「は、はーい!分かりました!ミラ行くよ!」


 カン・テイシーに怒鳴られた私は、半泣き状態でミラの手を引き部屋を飛び出した。


 「むうぅー!ミラ、今回ほとんど出番無かったのじゃ」


 ミラが、ぷくっと頬を膨らませる。……いや、それどころじゃないのよ!

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