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ギャルバンで昭和特撮ヲタの私が、ひいおばあちゃんになった話  作者: ひらやまけんじ
第3曲目 ミラちゃん はじめての2025ねん! 〜死闘!?来夢VSオーヴァー〜
19/23

第19話 対バン決闘勃発!スーパーヒーロー&ヒロインラヴァーズ最大の試練!! 

 昭和特撮の神様ー!スーパーヒーロー&ヒロインラヴァーズにチャンスを与えてくれて、ありがとうございますー!


 「やったー!やったー!」


 私は椅子をガタッと蹴って立ち上がり、両腕をバンザイしながらホールの中央でタップダンスみたいに小躍りする。テーブルの上のコップがガタガタ揺れるほどのハイテンション。


 「おめでとう!味蕾さん!良かったね!」


 加藤一郎君が、拍手しながらイベント出演を祝ってくれる。


 「ありがとう!加藤君!お互いに頑張ろうね!」


 私は親指をグッと立てる。今まで「ダイヤモンドブレイカーズ」のメンバーってだけで勝手に嫌ってたけど、こうして話すと結構良い人じゃない!


 「キャーホホホ!味蕾来夢!町内祭りの出演バンドに選ばれたくらいで、こっちが恥ずかしくなるような喜びようですのよ!スーパーヒーロー&ヒロインラヴァーズにとっては凄い事かもしれないけど、ワタクシ達ダイヤモンドブレイカーズにとっては、この程度は日常茶飯事ですのよ!」


 不意に、斜め前から水を差す声。見ると、顔中にまだ米粒や豚肉が貼りついたままのオーヴァーが、鼻で笑っていた。


 ……いや、まずは顔を拭けよ!


 「何よ!喜んじゃいけないの!?」


 「それじゃあ聞きますけど、今回の件は貴女方から運営側に応募した結果、選ばれたんじゃないのかしら?」


 「そ、そうだけど。それが何だって言うのよ!?」


 「キャーホホホ!やっぱり!ワタクシ達は、違いますのですのよ!運営委員会の方々全員から頭を下げてお願いされたから仕方なく出演する事になったんですのよ!これがワタクシ達と貴女方の格の違いですわー!」


 な、何だってー!最近少ーしだけ知名度出てきたのは認めるけど、いつの間にかそこまでのレベルになってたの!?


 「……オーヴァーちゃん、話を盛り過ぎちゃダメだよ。たまたま運営委員に僕の叔父さんがいて、僕がバンドやってるって話したら『それじゃ出てみるか?』って言われただけでしょ?叔父さん、僕が話すまでダイヤモンドブレイカーズを知らなかった事も説明したよね?オーヴァーちゃん、この話聞いた途端に、目の色変えて『千載一遇の大チャンスだから、即OKするんですのよー!』って言ってたじゃない?」


 加藤一郎君が、苦笑いでバッサリ切り捨てる。


 「キシャー!一郎さん!どうして余計な事を喋るんですのよ!?せっかくワタクシ達の凄さを思い知らせてやろうとしてたのにー!」


 図星を突かれたオーヴァーが、テーブルをドンッと叩きながら顔を真っ赤にする。


 な~んだ。ただのコネだったのか!安心したわ!加藤一郎君ナイス!


 「アハハハハ!随分と話を盛ってたんじゃないんですか?お客様〜?見栄っ張りも程々にしないと、その内に詐欺罪で訴えられちゃいますよ〜!?アーッハハハハ!」


 私は机をバンバン叩きながら大笑いした。


 「キーッ!でも、応募無しで出演する事になったのは本当の事ですのよ!フッ!どうせ、本番でお客さんの拍手喝采を浴びるのは、ダイヤモンドブレイカーズの方に決まってますわよ♪」


 「何で、今からそんな事が分かるのよ?あと、いい加減に顔の食べカス吹けよ!」


 「ククムカキー!食べカス吹きかけたのは貴女ですのよ!フ、フフーン♪バンドとしての実績や知名度を比べれば、今の時点でどちらがウケるかは一目瞭然ですのよ!キャーホホホ!!」


 「バカ笑いもいい加減にしなさいよ!勝負ってのは、やってみなきゃ分からないじゃない!今回のミュージックフェス、お客さんにウケるのはウチらのスーパーヒーロー&ヒロインラヴァーズよ!」


 「あ〜ら?随分自信がお有りのようですのね?それじゃ今回のミュージックフェスは、ダイヤモンドブレイカーズとスーパーヒーロー&ヒロインラヴァーズの〝対バン決闘〟というのは、いかがですのよ?」


 オーヴァーが、ニヤァと口角を吊り上げる。


 「対バン決闘?何よそれ?」


 対バンというのは、普通はライブとかで複数のバンドが入れ替わりでステージに立って、演奏することじゃない?対バンに決闘を加えると……。ん?決闘?まさか!?


 「〝バンド同士の対決・決闘〟という意味ですわよ!ワタクシ達の演奏が終わった後、会場のお客さんに(どちらのバンドの演奏が良かったか?)と投票を採り、票の多いバンドが勝ちというルールですのよ。負けた方のペナルティーは……そうですわね〜?あ!〝バンド解散〟というのは、どうですの?」


 やっぱし、そういう事か!しかも負けた方はバンド解散ですって!?


 さっきは、勢いであんな啖呵を切ったけど、バンドの知名度など現実的に考えると悔しいけどウチらの方が不利だ。どうしよう?断った方が良いのかな?


 「怖ければ、断っても構いませんのよ?まあ、‶どうせ1970〜80年代の特撮ヒーロー番組の主題歌なんて、古臭くて誰も聴かない〟から、バンド存続のためには尻尾を巻いて逃げた方がお利口さんですのよ!キャーホホホ!」


 〝バン!〟


 オーヴァーの言葉にキレた私は近くのテーブルを思い切り叩いた!


 「ち、ちょっと、味蕾来夢?ど、どうしたんですのよ?」


 「ふざけんな!誰が逃げるって!?対バン決闘?バンド解散?上等じゃない!そっちこそ逃げるんじゃないわよ!」


 私の事は馬鹿にしてもいい!でも、私の好きな特撮ヒーローの事を馬鹿にするのは許せない!ヒーローだって、巨大な悪の組織や強い怪獣から逃げずに戦ったんだ!私だって、この勝負逃げずに受けてやるわ!


 「な、何よ!素直に無理って言えば取り消してあげようと思ってたのに!そ、そこまで言うからには、お互い後には引けませんのよ?」


オーヴァーも机に両手をついて顔を突き出す。米粒が落ちてテーブルに散らばる。


 「ち、ちょっと、味蕾さんもオーヴァーちゃんも落ち着きなよ!」


 加藤一郎君が、慌てて止めに入ってきた。


 「「加藤君(一郎さん)は黙ってて!」」


 私とオーヴァーの声が、完全にシンクロして店内に響いた。


 「ねえ、生春さんも2人を止めてよ!」


 「春ちゃんフラレた……春ちゃんフラレた……ブツブツ……」


 ジェンダーレス生春巻は、ラーメン丼を抱えながら虚空を見つめ、完全にゾンビ化していた。


 「生春さーん!こっちの世界に戻ってきてよー!」


 加藤一郎君が、肩を揺するも反応なし。


 あら?よく見ると、いつの間にか特盛炒飯と極盛り味噌ラーメンも完食してるじゃない。


 ……って、そんな事はどうでもいい!私は再びオーヴァーの顔を睨みつけてやるのだった!

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