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18 奇襲作戦その二

街中。騎士団からある程度離れたエリアで。

民家の屋根上に陣取った俺達は、こっそりと偵察をしていた。


「騎士.....3人だな。情報がいったから、最低でも3人位でかたまって動けって感じの司令が入ったんだろうが、そこまでは全く問題なしだ」

「──────例の、分断作戦....ですよね?煙幕のカーテンを広げて後衛を孤立させるっていう」

「ああ。複数で動いていたところで、分断すれば問題ない。ピッタリ仲良しでくっついて動いてるわけじゃないからな。即席の小隊ってのもあって連携はおざなりさんだろうよ」

「......おざなりさん?」


急に戦闘が始まれば必ず動揺が生まれる。

この作戦を打ち破れるのは一握りだろう。煙幕が張られてすぐ状況を理解し、勇気をもって煙幕を突き抜け味方を助けに行ける......そんなやつがどれくらいいるだろうか。


「それをされたとして、面白いけどな」

「ん.....なにか言いました?」


小さなつぶやきに反応したアマヤへなんでもないと首を振る。


「よし、俺の合図で行くぞ。狙いは後ろにいるローブを着た男だ」

「はい!」


神経を研ぎ澄ませ、タイミングを測る。

……油断しろ、少しでも距離を離すんだ。良い─────今だ.....!


「行くぞ!」


後衛の男がUIを操作し始めた瞬間、アマヤにだけ聞こえる声で合図を送った。

同時に、魔道具を起動。

屋根上から3人の騎士を2:1に分断するように、魔道具を振り子の要領で下に降ろしていく。


「敵?!」


視界に入った妙な縄と、屋根上から降りた“アマヤ”の足音に、ローブを着た男が気づき声を上げる。

.....が、遅い。

煙幕のカーテンは降り、やっと気づいた反対側からは困惑の声が上がった。


「速攻ッ......!」


アマヤの、『踏み込み』からの一撃。

それと挟み込むように『盗足』で背後まで回っていた俺。


「二人ッ....!煙幕の向こうだ!早く..........!」


“正面”のアマヤを騎士の男は何とか魔法の杖で抑え込む。が、そうなれば当然、背後からの一撃が綺麗に決まる。

ローブを着た男は両側からの攻撃に耐えきれず、一瞬の内に塵へと変わっていった。


(出てくるぞ)


小声で合図を送り俺は煙幕の中へ、反対側の騎士と入れ替わるように身を隠す。


「ッ.....?!」


煙幕から飛び出た瞬間の騎士。驚く暇すら無く、アマヤの重い一撃が入る。続いて出てきたもう一人の騎士は、その光景に釘付けになった。

そして俺は煙幕の境界から.......再び、隙の生まれた背後に狙いを定める。

お兄さん、後ろががら空きだぜ。


「がぁっ.....!」


首に向かって大ぶりの一撃。

騎士の鎖鎧によって防御されているが、よろけたところにもう一撃!


─────吹っ飛べ!!


体勢が完全に崩れたところに、さらにもう一撃!!

新調した騎士の手斧。鎖鎧といえど、三度の強打による衝撃は耐えきれない。

完全に人体の何かを破壊した感触とともに、騎士の身体が吹っ飛んでいった。


「後.....ろ.....!」


細い断末魔を上げて、騎士の男は塵に変わっていった。

それを確認し、すぐアマヤと戦っている騎士の方へ視線を向ける。

板金鎧でも変わらねえ!ゴリ押しだ!


「おらぁっ!一気に押し込むぞ!」

「行きます!」


躊躇なく鎧の上から手斧の一撃を叩き込む。

装備の差もなく、2対1になってはどうしようもない。


「クッソ.....!3人いても......!」


一瞬にして、3人目の騎士も塵へと変わっていった。


「回収だっ!」


直ぐに騎士の装備を回収し、紐を引っ張り魔道具も戻す。

完璧.........!!アマヤへ目配せをし、力強いハイタッチを交わす。


「決まったな!」

「ですね!」


分断作戦、初戦─────完勝。


─────────────────────────────────────


────シナナキ....!

騎士団本部。ブルーは一人、騎士団長室の椅子の上で眉を顰めていた。まだ正式に決まったわけではないが、ブルーは一応騎士団長として団員へ指示を行っていた。

その現状に、ブルーは顔を歪めざるを得なかった。


シナナキを全く補足できない......報告が上がったかと思えば、毎度シナナキに倒されたという事後報告のみ。シナナキが騎士の装備を狙っていると気付いた時点で複数人行動するよう指示したが、それでも同じような報告が続くだけだ


得た情報といえば、シナナキは小豆色の髪をした女......アマヤと行動をともにしており、奇襲をメインにしているということ。

弓を使っているとの情報もあるが殆どの場合、謎の煙幕で撹乱・分断し最初にアマヤの方が突撃する。急に戦闘が始まり慌てて対処するところを、シナナキが奇襲するという手だ。

単純ながら、即席のチームでは対処が難しい。


舐めてはいなかった。が、想像以上だったというわけか......!


ブルーは瞼を閉じ、気持ちを切り替える。認識を改めてただ修正するだけだ。と自分に言い聞かせて。

全体通信を始め、これからの作戦を伝える。


『聞いてくれ。以前も伝えたシナナキとアマヤについてだ。彼らは今騎士の装備を狙って騎士狩りをしているということは周知の事実のはずだけど、騎士団はこれを無視できない状況にあるんだ』

『あー.....あー。ブルー....聞こえてるか?』

『ああ。聞こえているよ』


ブルーがギャーベッツに返事をする。


『.....ブルー、今の話だとシナナキのやつはまだ倒されてねえってことなんだな?』

『そうだね。さっき僕が伝えた複数人で行動するという対策は、煙幕で分断されることで対処されているみたいだ。だから─────』


そこで、ざわめく通信を切り裂く鋭い一声が差し込んだ。


『ブルー。いいわ、私に任せてちょうだい』

『マグ.....!』


騎士団最強格。

シナナキと同格と言って差し支えない女、マグカップが声を上げた。

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