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17 奇襲作戦その一

「うわぁっ?!誰か助けてくれっ!」


暗い路地裏の中。

突然上がった叫び声に、2人の騎士が駆けつけてくる。

フルプレートアーマーと鎖鎧。走る騎士たちの装備が揺れ、音を立てる。


「どうした!大丈夫かっ.....?!」


座り込む“灰色”の髪をした男に、一人の騎士が声を掛ける。

だがその背後から駆け寄ったもう一人の男は、座り込む男を見た瞬間に顔色を変えた。


「バカッ!お前!─────そいつは支給品を装備してないぞ!!」

「なッ...........?!」

「悪いなっ。それ、貰っていいか?」


真っ先に俺へと近寄った一人の男に、灰色髪の男は笑みを見せた。

その極悪な笑顔に一瞬の隙を見せた男は、次の瞬間には短刀の一撃が己に迫っていることに気づく。


「ぐぅっ.....!しまったッ」


数撃受けた騎士の男が、しかし、なんとか体勢を持ちこたえ距離を取ったその時。

追撃するように矢が飛来する。


「複数....!クソっ!」


真上に潜んでいた射手に気を取られている暇はなく。

前からは灰色の青年の刃が迫ってくる。


「しっかし硬えな」


そんなつぶやきから放たれる刹那の斬撃。

間一髪で避けても反撃ができず、防具の隙間を縫うように、騎士の男は確実に削られていく。


「うおおおおっ.....!!」

「持ちこたえろ!今連絡を......」


すぐにUIを操作し騎士団へと連絡しようとする二人目の騎士の手を、二本目の矢が貫いた。


「ぐっ.......!?」


連絡ができない。焦る騎士は、頭上からさらに次の攻撃が迫っていることに気づく。


「どはあぁっ!?」


路地裏の真上から飛び降りた女から、脳天に直剣の重い一撃が振り下ろされる。

騎士の男は容赦なく地面に転がり、もう一方の騎士の方へと転がっていく。


「ぅわっ?!ちょ.......!」

「ナイス連携っ」


灰髪の男から距離を取ろうと後退していた騎士は、背後から転がる騎士にぶつかり姿勢を崩す。

そしてそのまま団子になって、地面に倒れ込んだ。


「はっは!そんじゃ、頂いちゃいますか」

「頂きますよっ!」


楽しそうな二人の笑顔を最後に、騎士たちの視界は暗転するのだった。




「ぉほほ~っ、中々いい装備だなぁこりゃあ」


『騎士狩り』を決行した俺とアマヤは、まずは意表を突いて2人分の装備を手に入れることにした。

路地裏に誘い込み奇襲する作戦は上手く行き、騎士を二人倒すことができた。

屈み、俺は散らばった騎士たちの装備を吟味する。


「初期装備と比べてかなり性能が良さそうですね!」


アマヤの言葉に頷き、装備の性能を確認する


・騎士の下級板金鎧

最も位の低い騎士に支給される装備。

一般的な金属で作られたプレートアーマー。


頭や脚なども同じような説明がされている。


「俺が倒したやつとお前が倒したやつ、違う装備だな」

「私が倒した方は重鎧で、シナナキが倒した方は少し軽めの鎖帷子みたいな感じですね」


確認してみると確かに違いがあった。

もう一人の騎士が装備していたものは、『騎士の下級鎖鎧』という名前で性能が違っている。


「鎖鎧の方は防御力が低い代わりに機動性がそこそこあるって感じみたいだな。支給される装備も、お好みで選べるんじゃねえか?」

「私が戦っていた方はかなり防御力がありました」


ちなみに防御力は個人のステータスじゃない。

装備を着ていればとりあえず固くなるわけじゃなくて、ダメージは当たる場所などによって変則的に計算されるって感じみたいだ。


「あの上から思いっきり頭に振り下ろしたのに生きてましたからね」


そう言ってアマヤが上を指差す。

確かにあんな高い場所から強烈な一撃を食らわせたのに、ありゃあ頭装備がなければ一発でKOだっただろう。想像以上のカチカチ装備だ。


「それと────武器は手斧と大剣か」


悪くない。どころか、二人のスタイルにはピッタリあっている。

俺の機動力を活かした戦闘スタイルには手斧、アマヤのガン攻めスタイルには大剣が適している。


「とりあえず良かったですね」

「そうだな」


少しだけ緊張から解き放たれて、アマヤは安堵の言葉を吐く。

これで安心、とはならねえが、装備差がある最初の戦闘を乗り越えることができたのは確かだ。

この調子で波に乗っていければいい。


「よし、じゃあここから、20セットは集めようか!」

「へぇ.......?今、なんて言いました?」


和やかな表情で休んでいたアマヤは、聞き返しながら、目をジトリと細めた。


「聞こえなかったのか?騎士20人ブチ殺すって言ったんだ」

「さっきより酷くなってませんかっ?!」


言っていることは変わらないですよ。


「なんだよ、20は流石に......って言いたいのか?」

「それは、違いますけど?けどさっきみたいなことを繰り返していたら対策されますよね?」

「相手にもブルーがいる。当然こっちの動きにも対応してくるだろうな」

「なら、今度はどんな策があるんですか?」

「コイツ」


取り出したのは、さっき試しに使ってみた球形の煙を出す魔道具。

それを、縄で括り付けて吊るしたものを見せる。


「さっきの魔道具と、縄?」

「これに魔石を嵌めて、トリガーを押す.....と」

「!」


すると再び魔法の煙幕が噴き出した。もう一度トリガーを押すと、噴出が止まる。


「ああっ、わざわざ手で魔力を込めずとも、魔石を込めれば魔道具は起動するんですね」

「そういうことだ」


起動した状態で投げれば煙のカーテンを作ることができる。普通に手で込めることもできるが、片手で起動しっぱなしにした状態ではとても使い勝手が悪い。


「それと、泥棒の第二のスキルだ」


職業ごとに使えるスキルは職業の熟練度によって追加で開放される。つまり、序盤に『スリ』を使いまくったことで早くも第二のスキルが開放されたということだ。


「2つ目のスキルは『盗足(ぬすあし)』は、自身が立てる足音を完全に絶つスキルらしい」


煙幕と組み合わせれば、奇襲性能は桁違い。


「ゲリラ戦だ。煙幕を使って敵を分断すりゃあ......射手とか後衛職や装備の軽そうな騎士を暗殺できる!どうだ?20セット、いけそうだろっ?」

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